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マイホーム取得に向けて、今だからこそやっておきたいこと

家計やライフプランの見直し

公開日:2020年5月29日

この記事の概要

  • マイホーム取得を目指していた方の中には、今回の新型コロナウイルスの影響で外出を控えることになり、物件探しなどが遅れている方も多いのではないでしょうか。ファイナンシャルプランナーの平井美穂さんは、そんな方に対して、「今回生まれた時間的な余裕を活用して、家計やライフプランの見直しに取り組めば、かえって失敗しないマイホーム取得ができる」とアドバイスします。

近い将来、マイホーム取得を目指していた方の中には、外出自粛により物件探しに支障が出るなど、今回の新型コロナウイルスの流行の影響を受けた方も少なくないでしょう。しかし、こんな時だからこそ、マイホーム取得に向けてやるべきことがあります。新型コロナウイルスに負けず、マイホーム取得に失敗しないためのポイントをファイナンシャルプランナーの平井美穂さんに解説していだきました。

平井美穂さん

家計や生き方を見直すチャンスにしたい

–新型コロナウイルスの流行は私たちの生活を直撃しました。住宅取得を考えていた方にも影響があったと思います。

平井:新型コロナウイルスの影響により、外出自粛などが要請される中で物件探しの内見に影響が出ているのはもちろんですが、それ以外にもっと根本的な部分に影響が出ています。それは収入や支出などの家計、さらには働き方などへの影響です。例えば、収入ですが、一時的な減少に終わればいいのですが、働き方などによっては長期化する可能性があります。

新型コロナウイルスはこうした家計のみならず、今後の働き方や生き方までも見つめ直すきっかけになったと思います。今こそ、これまでの家計や生き方を点検し、再構築しましょう。

私のところに、多くの方が住宅購入時の相談にみえます。住まい選びやローン選びなどさまざまな相談がある一方で、共通する問題を抱えています。それは家計やライフプランの整理が出来ておらず、家族とも共有できていないという問題です。「購入予算を立てるにも、自己資金をいくら投入できるのか、月々いくらのローン返済ならやっていけるのか、財布の中身を把握できていない」、「戸建てかマンションか決めるにも、そもそもこの先どこに住んでどのように暮らしたいのか、仕事や子どもはどうするのか」。まずはこうしたことからきちんと考えていく必要があるのにできていないケースが少なくないのです。

現状を把握・改善と長期的視点でのプラン作り

–具体的にどうしたらいいでのしょうか。

平井:毎日慌ただしく過ごして、将来のライフプランなど何も考えていないという方も少なくないと思います。しかし、今からでも遅くはありません。現状のように外出もままならず、時間があるときこそチャンスです。今こそ、現状の家計を把握し、将来のライフプランを立てて、それに沿って改善し、不測の事態にも負けない強固な家計を目指しましょう。そのためには、現在はもちろん、生涯を見据えた長期的なスパンで家計収支の変化を捉え、ライフプランを立てる必要があります。私は、以下のステップで住宅購入前の準備をするようにアドバイスをしています。

  1. (1)現状の家計の中身を整理し、客観的に分析、家族と共有する
  2. (2)削減できる支出や、保険・ローンの見直し、節税、運用など、家計の無駄を見直し、改善をはかる
  3. (3)住まい、子ども、理想とするライフスタイル、セカンドライフについてなど、今後家族が希望するライフプランを話し合い、実現に必要な費用を見積もる
  4. (4)生涯収入と生涯支出を算出し、希望するライフプランの優先順位を守りながら、生涯収入を「住居費」「生活費」「教育費」「将来への貯蓄」などの費目に予算分けする
  5. (5)生涯収支のバランスがあわない場合は、収入を増やす、支出を減らす、ライフプランを見直すなどの対策案をたてる
  6. (6)実行に移し、定期的に見直しを行う

上記のステップは一つ一つ手間がかかります。ある程度、時間があるときでないとなかなか取り掛かることはできません。だからこそ、今がチャンスと考えて実行すべきなのです。

マイホーム取得のイメージ

マイホーム取得は老後や“いざ”というときの備えにも

–長期的なスパンで家計を見直すとどんなことに気づくのでしょうか。

平井:家計を生涯という長期的かつマクロの視点で分析していくと、住居費の負担が大きいことに気づかされます。例えば、30歳で結婚し90歳まで生きるとして、家賃12万円の物件に住み続けた場合、8640万円の家賃を払うことになります。ほかに更新料などがかかる可能性もあります。一方、結婚と同時に5000万円の一戸建てを購入した場合、現在の金利であれば総返済額は6200万円程度。10年毎に200万円の修繕費をかけ、固定資産税などの維持費を年間10万円支払ったとすると、60年間の総額は8000万円ほどです。独立行政法人労働政策研究・研修機構のデータによると、日本人の平均的な生涯賃金は、学歴や性別などによって違いますが1億4000万円から2億7000万円程度になっています。持ち家でも賃貸でもかなりの負担ですね。

前述の試算のように持ち家と賃貸の比較では、持ち家の方が金額的に負担が少なくなる可能性もあります。また、持ち家は資産価値を維持できれば、老後は売却して老人ホームに入る資金に充てることや、自宅に住み続けながらリバースモーゲージを活用して生活資金をつくりだすような選択肢も考えられるでしょう。一方、賃貸では仮りに65歳から90歳まで家賃12万円の物件に住み続けるとすると、家賃だけで約3600万円が必要になります。年金暮らしが始まるまでに用意しておかなければならないとすると相当大変です。

–金銭の支出面で見ると現状では、持ち家の方が有利ということですか。

平井:持ち家の取得にはリスクも伴いますから、金銭面だけでなくそれも考えて比較するべきでしょう。住宅ローンを抱えた場合、収入が減った時に返済できなくなる可能性があるでしょう。また、災害によって損壊した場合、賃借していた場合と異なり、その修繕は自分自身がしなくてはなりません。さらに物件の資産価値が下落する可能性もあります。ただし、持ち家のこうしたリスクはやり方次第で、かなり軽減できる可能性があります。ですから、住宅取得に際しては慎重に考え、できるだけリスクを減らす必要があるのです。

例えば、住宅ローンの返済。計画を立てる時に、具体的な数値でシミュレーションしましょう。「家計に無理のない返済額で35年ローンを組むが、途中で繰り上げ返済する予定」というプランを目指した場合、毎月の返済額、繰り上げ返済額を具体的に設定。定年退職時の残額見込みなども予測しておきましょう。

「夫婦でローンを組むのが希望」であれば、定年退職までの生涯収入はそれぞれいくらになり、夫婦の所得比率と借入額の比率は合っているのか、パートナーに万一のことはあったときに遺族年金や保険金がいくら支給され、自分のローンは一人で返せる範囲なのか、保険は有効か、あらゆるライフプランの変化を想定し、複数パターンのシミュレーションをしてみてください。事前にこうしたことをきちんと確認し、夫婦で話し合い、あらゆる対策をたてておけば、予期せぬ事態が起こったときでも途中で返済ができなくなるようなリスクを避けることができます。

災害による損害リスクをカバーするには保険を有効に活用する必要があります。過不足のないプランを慎重に選びましょう。物件の資産価値下落リスクを減らすには、慎重に物件を選ぶことが基本的な対策になります。このようにマイホーム取得のリスクを減らすには、とにかく手間をかけて慎重に行動することが必要なのです。だからこそ、今こそそれに時間を使いましょう。

「ステイホーム」の際、家の重要性を誰しもが痛感したはずです。家は生活の基盤。それが安定していなければ生活は守れません。今回の新型コロナウイルスの流行を、そんな家の在り方、ライフプランを考え、具体化していく契機にしてほしいと思います。

解説

平井美穂さんのプロフィール

大学卒業後、マンション販売会社に勤務。その後、金融機関に転職をし、都市銀行およびモーゲージバンクにて融資業務および資産運用相談を専門とする企業系ファイナンシャルプランナーの仕事に携わる。出産を機に退職し、独立系ファイナンシャルプランナーとして住宅ローンのアドバイスを中心に活動。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2020年5月29日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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