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「サービス付き高齢者向け住宅」と「介護付き有料老人ホーム」の選び方

人生100年時代!どこでどう暮らす?(第4回)

公開日:2018年5月31日

この記事の概要

  •  連載3回目は、高齢者向け住宅探しのリアルな現状を解説しました。その中で、高齢者の住まいの一般的な選択肢として浮上したのが、自立型としてはサービス付き高齢者向け住宅、介護型としては介護付き有料老人ホームです。最終回である今回、この二つに絞って施設の説明と選び方を解説します。

老後の生活のイメージ画像

これまでに、老後の住み替えプランと高齢者向け施設について解説し、住み替え先として、自立型はサービス付き高齢者向け住宅、介護型は介護付き有料老人ホームが一般的な選択肢であることを見てきました。そこで今回は、サービス付き高齢者向け住宅と介護付き有料老人ホームの選び方をご紹介します。

サービス付き高齢者向け住宅のチェックポイント

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は、身の回りのことが自分でできる自立した高齢者や軽度の要介護者向けの賃貸住宅です。

ハードとサービスの要件は

  • 各戸はすべて独立した個室
  • バリアフリー
  • 各個室の面積は原則として25㎡以上(十分な共用部分がある場合は18㎡以上)
  • 安否確認サービスの提供
  • 生活相談サービスの提供

となっています。

サ高住は、上記の要件で分かるように高齢者のためのハード(建物)とソフト(サービス)を兼ね備えた住宅といえます。選ぶ際には、ハードについて居室の広さや共用スペースの状況などをチェックするだけでなく、ソフト(サービスの内容)や、費用、介護が必要になった場合の対応について次のような点をチェックします。

1)サービスの内容

サ高住では食事提供は義務ではないので、食事サービスがあるかないかの確認は必須です。

安否確認・生活相談サービスが義務づけられていますが、その運用は施設次第です。安否確認の方法や夜間の対応がどのようになっているか、サービス提供のための職員用マニュアルが整っているか、職員研修が行われているかなどもチェックします。

施設によっては、入浴・食事等の介護や、健康維持増進、洗濯・清掃等、外出時の付き添い、買い物代行などのサービスも提供しています。どんなサービスがあり、利用料がいくらかを確認しましょう。

2)費用

サ高住は入居時に家賃2、3カ月分の敷金が必要ですが、これは退去時に返還されます。それ以外の支払いが必要な場合は、何のための費用か、退去時の返還があるかないかを確認します。

毎月の賃料は、周辺の賃貸住宅の賃料や居室の広さで変わってきます。他の施設と比較して割高になっていないかをチェックするだけでなく、毎月の費用(賃料とサービス費、食費等の合計)が無理なく払えるかどうかが重要です。

3)介護が必要になった場合の対応

サ高住の入居者が要介護になったら、サ高住の中で在宅介護サービスを利用することになります。訪問介護ステーションや居宅介護支援事務所、小規模多機能型居宅介護施設等を併設しているサ高住であれば安心です。

サービス付き高齢者向け住宅はどのように探せばいいのでしょうか。各サ高住は都道府県あるいは政令市へ登録し、情報を開示しています。どこにどのようなサ高住があるかは、一般社団法人 高齢者住宅推進機構の「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム:http://www.satsuki-jutaku.jp/」で調べられます。

最近は、一般向け賃貸住宅に併設されたサ高住や、町屋を改装したサ高住などさまざまなタイプのものが出てきています。今後も、サ高住の選択肢は広がっていくと見られます。情報を調べるだけでなく、実際に訪れて自分の目で見て、雰囲気を確かめてみましょう。

介護付き有料老人ホームの費用の差をもたらすものとは?

介護付き有料老人ホームは、食事付きの高齢者向け施設で、内部の介護スタッフによる介護が受けられます。65歳以上の要支援・要介護の人が対象ですが、自立の人であっても入居可能な施設もあります。居室は個室で、食堂やリビングルームなどの共用スペースがあります。

入居時に数百万円から数千万円の入居一時金が必要なケースが多いのですが、一時金不要な施設もあります。毎月の費用も10万円台から50万円以上まで幅があります。こうした費用の差は以下のような点から生じています。

1)介護の手厚さ・職員体制

介護付き有料老人ホームでは、入居者3人を1人の介護スタッフがケアする「3:1」が最低基準です。「2:1」や「1.5:1」など基準より介護が手厚い施設では、そのぶんが毎月の費用に上乗せされます。

2)居室や共用スペースの広さ

居室が広いほど費用が高いのはもちろんですが、共用スペースも大きく影響します。食堂やリビングルームが広く、それ以外にラウンジ、図書室、理美容室、機能訓練室などがある施設は入居一時金も毎月の費用も高めです。

3)食事の提供者

多くの施設は給食会社を利用して、盛りつけや配膳を施設内で行いますが、専任の担当者が施設内の厨房で調理をしているような施設は費用が高くなります。

4)立地・建物

地方より都市部、都市部でも駅に近いところなど、立地も費用に反映されます。ホテルや社員寮などをリノベーションした施設は、建築費がかからないぶん、新築の施設より費用が安いといえます。

以上の点を理解した上で、介護付き有料老人ホームを選ぶときは、「立地」「費用」「入居の目的」を明確にし、自分に合った施設をピックアップしましょう。

介護付き有料老人ホームはネットで検索できるほか、近隣の施設であれば新聞広告や折り込みちらしなどでも探せます。ピックアップしたら、実際に見学してみましょう。その際、食事の試食をさせてもらうのが理想です。下記に見学の際のチェックポイント一覧表を用意しました。参考にしてください。

◇介護付き有料老人ホームのおもなチェックポイント

居室 広さや使い勝手はどうか
共用スペース 食堂などの広さは十分か。清掃は行き届いているか
職員 仕事ぶりや入居者に対する態度はどうか
食事 味や盛りつけが好みに合うか
入居者 平均年齢・平均要介護度はどのくらいか
医療体制 看護師は常駐か、提携医療機関はあるか
イベント・アクティビティ どんなものが開催されているか、開催頻度はどのくらいか

介護付き有料老人ホームに求めるものは人によって違うので、自分の目で見てチェックすることが大切です。比較することによって分かることも多いため、最低でも3カ所は見学したいところです。賃貸タイプのサ高住と違って、一度入居してしまうと転居はそれほど容易ではありません。入居前の慎重な施設選びが必須です。

見学の際には「重要事項説明書」をもらいましょう。入居一時金の償却方法や費用の詳細、職員体制などが細かく書かれているので、しっかり目を通し、不明な点があれば施設へ問い合わせて確認してください。納得のいく施設をじっくりと選ぶことが、心豊かで老後の暮らしにつながります。

執筆

馬養 雅子 (まがい・まさこ)

ファイナンシャルプランナーとして、金融商品や資産運用などに関する書籍や新聞・雑誌記事の執筆、金融関連企画へのアドバイス、講演などを行う。高齢者へのアドバイスのため、多数の高齢者向け施設に足を運び現状を確認。老後の暮らし方についても情報を発信している。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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