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ローンから諸経費、リフォームまで、多彩な優遇税制を活用しよう

住宅を購入するときにしっておきたい税金の話 vol.1

公開日:2016年6月30日

住宅は個人消費の中でも高額な買い物の1つです。家具や住宅機器などの購入による消費の波及効果も高いので、国は多様な優遇措置を設けて住宅取得をサポートしています。その中でも必ず押さえておきたいのが優遇税制です。住宅購入時のさまざまなシーンで活用できます。まずはその全体像を確認しておきましょう。

住宅取得に関わる優遇税制をできるだけ活用する

住宅を購入する際、ほとんどの方は住宅ローンを組むと思います。その場合、ローン残高の1%を所得税や住民税から控除するのが「住宅ローン減税」です。また購入時に発生する印紙税や不動産取得税といった税金の一部を軽減する優遇措置もあります。親から子への住宅資金贈与に関しても特例が設けられ、非課税枠が使えます。さらに住宅購入時にリフォームした場合には、所得税や固定資産税の減税措置が使えます。(表1参照)

こうした優遇税制を使わないのは大損です。特に源泉徴収されているサラリーマンは、所得税や住民税などの税務についての知識や関心が薄いケースがあります。住宅取得の際は、税金に敏感になるべきです。それでは、優遇税制それぞれの概要をチェックします。

(表1)中古住宅取得に使える主な優遇税制

優遇制度 税金の種別 概要(諸条件があります)
①住宅ローン減税 所得税、住民税 毎年末のローン残高の1%について、毎年最大40 万円(長期優良住宅等の認定住宅は50 万円)、10 年間にわたって所得税から控除(引き切れない場合に住民税から控除)
②住宅取得に係る印紙税や不動産取得税、登録免許税の軽減措置 印紙税、登録免許税、不動産取得税 住宅の売買契約書や住宅ローンの契約書作成にかかる印紙税や、保存登記や移転登記、抵当権設定登記の登録免許税、不動産取得税を軽減
③住宅取得等資金贈与の特例や一般的な贈与税の非課税枠 贈与税 親から子への贈与についての非課税枠制度のほか、住宅取得のための贈与について非課税制度や、年間の贈与税の非課税枠を住宅ローン返済に活用
④住宅リフォーム減税 所得税、固定資産税 性能向上のための住宅リフォームを実施した場合、所得税や固定資産税の減税措置がある。現金払いの投資用減税とローン減税を用意

最大の優遇税制は住宅ローン

住宅取得時の優遇税制の代表は表1の①「住宅ローン減税」です。前述の通り、住宅を購入した際に設定した住宅ローンについて、毎年末のローン残高の1%について10年間にわたって所得税から控除できるというものです。

最大控除額が決まっていて、購入時に消費税8%又は10%がかかった場合で、一般住宅は年間40万円(10年間合計で400万円)です。また、長期優良住宅や低炭素住宅等の「認定住宅」を取得した場合には、最大控除額が50万円(10年間合計で500万円)になります。所得税から控除しきれない場合、翌年の住民税から最大13万6500円控除されます。ただし、対価に含まれる消費税なし又は5%の場合は、一般住宅で20万円(10年間合計で200万円)、長期優良住宅や低炭素住宅等の「認定住宅」を取得した場合には、最大控除額が30万円(10年間合計で300万円)となり、所得税から控除しきれない場合の住民税からの控除額は最大9万7500円となりますので、注意が必要です。

(表2)住宅ローン減税概要

項目 概要
中古住宅取得日 平成31年6月30日まで
控除期間 10年
控除額 年末時点のローン残高×1%を所得税から控除
所得税の控除限度額 ①消費税なし又は5%で購入した場合
最大20万円(一般住宅)、30万円(長期優良住宅や低炭素住宅等)
②消費税8%又は10%で購入した場合最大40万円(一般住宅)、50万円(長期優良住宅や低炭素住宅等)
所得税から控除しきれない場合の住民税の控除限度額 ①消費税なし又は5%で購入した場合
最大9万7500円(前年課税所得×5%)
②消費税8%又は10%で購入した場合
最大13万6500円(前年課税所得×7%)

住宅ローン減税を受けるためには、①登記簿上の面積が50㎡以上であること、②マンションは築25年以内であるか、新耐震基準に適合する建築物であること、または既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入していること(木造住宅は築20年以内)、③返済期間10年以上の住宅ローンであることといった条件を満たすことが必要です。また、控除の適用を受ける年の合計所得金額が3000万円以下の方に限られます。

住宅取得時の税金の負担を軽くする措置がある

住宅取得時に、印紙税や不動産取得税などさまざまな税金を納める必要があります。それについても、軽減する措置が用意されています(表1 の②)。

(表3)印紙税の軽減税額

住宅や土地など不動産を購入する際の売買契約書の印紙税について、平成30年3月31日まで表3のように引き下げられています。

契約金額 印紙税額
本則 現在の軽減措置
10万円超 50万円以下 400円 200円
50万円超 100万円以下 1000円 500円
100万円超 500万円以下 2000円 1000円
500万円超 1000万円以下 1万円 5000円
1000万円超 5000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超 1億円以下 6万円 3万円
1億円超 5億円以下 10万円 6万円
5億円超 10億円以下 20万円 16万円
10億円超 50億円以下 40万円 32万円
50億円超 60万円 48万円

(表4)登録免許税の軽減税率

住宅用家屋の所有権の保存登記や移転登記、住宅ローン等における抵当権の設定登記については現在「住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置」が設けられており登録免許税の税率が軽減されています(表4)こちらは平成29年3月31日までの措置です。

登記の種別 登録免許税の税額
本則 現在の軽減措置
所有権の保存登記 0.4% 0.15%
所有権の移転登記 2.0% 0.3%
抵当権の設定登記 0.4% 0.1%

(表5-1)特例における不動産取得税の税額計算法

不動産取得税については、通常、固定資産税評価額の4%が都道府県から課税されますが、住宅については現在特例によって3%に軽減されています。土地や住宅が対象となり、住宅以外の家屋については4%のまま変わりません。この措置は平成30年3月31日までの特例です(表5−1)

不動産取得税の計算式
本則 軽減措置
土地 固定資産税評価額×4% (固定資産税評価額×1/2×3%)- 控除額(下記ABのうち多い金額を適用)
A:4万5000円
B:(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(最大200㎡))×3%
建物 固定資産税評価額×4% (固定資産税評価額-控除額※)×3%
※控除額は下記表5-2をご参照ください

(表5-2)建物の不動産取得税における控除額(東京都の場合)

宅地(土地)については、同じく平成30年3月31日までの取得であれば、宅地の課税標準額が取得した宅地の固定資産税評価額が1/2に軽減されます。住宅については築年によって控除額が変わり、築年が新しいほど控除額も大きくなります(表5−2)。

建物の築年 控除額
平成9年4月1日以降 1200万円
平成元年4月1日~平成9年3月31日 1000万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 450万円
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 420万円
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 350万円
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 230万円
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 150万円
昭和29年4月1日~昭和38年12月31日 100万円

(表6)買取再販物件の住宅取得における登録免許税の特例

また平成26年度の税制改正によって、個人が宅地建物取引業者により一定の質の向上を図るための特定の増改築等が行われた中古住宅を取得した場合に登録免許税の税率を軽減する特例措置も創設されました。これは、事業者がいったん中古物件を取得し、リフォームで性能向上させて再販売する「買取再販物件」のことで、古いストックを建て替えでなく性能向上させて長期使用することから、こうした軽減制度が生まれたものです。

本則 特例措置
登録免許税 2.00% 0.10%

ただし、全ての買取再販住宅が対象となるわけではありません。以下のような条件を満たす必要があります。

  • 取得の時において、築10年を経過した家屋であること
  • 自己居住用であり、家屋の床面積が50㎡以上であること
  • マンション等の耐火建築物は25年以内、木造等の耐火建築物以外は20年以内に建築された住宅であること。なお、これらの年数を超えている場合は新耐震基準に適合している住宅であること。
  • 宅地建物取引業者からの取得であること(個人間売買では適用されません)
  • 買取再販物件を扱う宅地建物取引業者が、住宅取得からリフォーム工事を行い、再販するまでの期間が2年以内であること
  • 建物価格に占めるリフォーム工事の総額の割合が20%(または300万円)以上であること
  • 当該家屋について、一定の耐震基準に適合させるための修繕や、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事などのうち、いずれかの工事の内容に対して一定金額以上のリフォーム工事が行われたこと。

住宅取得のための贈与の非課税枠も利用価値は大きい

表1の③の贈与税に関しては、一般的な贈与税の非課税枠や相続時精算課税制度を使う方法と、「住宅取得等資金贈与の特例」を使う方法の2つの手段があります。親からマイホーム資金の一部を援助してもらう場合には、必ず検討すべき制度です。図1のようにかなり大きなメリットがあります。詳しくは「住宅購入後の暮らしも考えて、貯金や贈与、ローンを組み合わせる」をご参照ください。

図1 贈与税の非課税最大限度額

中古住宅の購入時のリフォームはローンでも現金払いでも減税がある

ここまで中古住宅を購入する際に使える優遇制度をご紹介してきましたが、中古住宅を購入した場合に実施することが多いリフォームに関する減税についても解説します。こちらも併せて活用しましょう(表1 の④)。

(表7)リフォームにおける減税制度

リフォーム減税には、ローンを利用した際に適用される「ローン減税」のほか、現金で支払った場合に受けられる「投資型減税」も用意されています。リフォーム減税は、壁紙の張り替えなどのただの模様替えでは受けられません。一定の住宅性能向上が求められます。改修内容として、大きく「耐震性能」「省エネ性能」「バリアフリー性能」について、一定の性能を獲得した際に控除が受けられます。

種類 工事内容 控除内容
所得税 固定資産税
投資型 耐震改修 控除対象額(最大250万円)の10%を所得税から控除(改修・居住開始した1年について) 固定資産税額(120㎡相当分まで)が1年の間、2分の1減額
省エネ改修 控除対象額(最大250万円、太陽光発電を設置する場合は350万円)の10%を所得税から控除(改修・居住開始した1年について) 翌年度の固定資産税額(120㎡相当分まで)が3分の1減額
バリアフリー改修 控除対象額(最大200万円)の10%を所得税から控除(改修・居住開始した1年について) 翌年度の固定資産税額(100㎡相当分まで)が3分の1減額
ローン型 リフォーム全般 住宅ローンの年末残高の1%が10年間にわたって所得税額から控除
省エネ改修 工事費用の年末ローン残高の2%または1%が5年間、所得税額より控除(控除対象限度額1000万円) 翌年度の固定資産税額(120㎡相当分まで)が3分の1減額
バリアフリー改修 工事費用の年末ローン残高の2%または1%が5年間、所得税額より控除(控除対象限度額1000万円) 翌年度の固定資産税額(100㎡相当分まで)が3分の1減額

※ローン型減税の耐震改修による減税制度はありません

リフォーム減税制度は中古住宅購入時の減税制度と一緒に使えますが、減税限度額を合算することはできないので、注意が必要です。また、紹介した減税制度は一定期間中の軽減措置などもあり、期限を過ぎると適用されなかったり、優遇内容が変更されたりすることがありますので、時期や適用条件等に十分ご注意ください。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。「中古住宅を宝の山に変える」「実家の片付け 活かし方」(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
税金については、平成28年4月1日現在の法令によっております。法律改正等により、内容が変更となる場合があります。実際の不動産取引にかかわる税法上の適応の可否については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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