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賃貸住宅のインターネット設備について考える

連載タイトル:「不動産投資」管理の重要なポイント(第27回)

公開日:2021年4月28日

この記事の概要

  • 個人のインターネット利用者は年々増加していますが、その接続方法は様々です。賃貸住宅をお持ちのオーナー様にとっては、「所有物件にどんなインターネット設備を準備するべきなのか」、「インターネット無料の設備を導入したほうが良いのか」、「回線速度はどのくらい必要なのか」など、判断に迷うことも多いと思います。各種調査データを参考に、賃貸住宅に必要なインターネット設備について考えてみましょう。

賃貸住宅のインターネット設備について考える

1.空室対策にインターネット無料は必要?

総務省の「通信利用動向調査(2020年5月公表)」によると、個人のインターネット利用率は約9割となり、インターネット設備をどうするかについて考えることは賃貸経営を行う上で重要性を増しています。

実際に入居者がどんな方法でインターネットを利用しているのかについて、リクルート住まいカンパニーが興味深い調査を行いました。「賃貸居住者の生活実態と設備に対する切望度に関する調査(2020年春)」によると、入居者のインターネットへの接続方法は、個人で契約している有料インターネット回線を使用している人が39.7%、物件備え付けの無料インターネット回線を使用している人が28.1%、個人で契約しているポータブルWi-Fi等を使用している人が14.5%、スマートフォンや携帯電話のモバイル回線を使用している人が10.7%、自宅でインターネットを使用していないという人が7.0%という結果でした。インターネット利用の方法には色々な種類があることが分かります。

そして注目すべきは、無料インターネットを使用している人への「無料インターネットがなかったら今の物件を借りなかったか?」という質問に、「たぶん借りた」「絶対借りた」と回答した人の合計がなんと63.2%だったことです。主要な不動産情報ポータルサイトには「インターネット無料」という検索項目があり、人気設備ランキングでも上位を占めているので、「インターネット無料の設備が無いと入居者が決まりにくいのでは?」と不安になるオーナー様もいらっしゃると思います。しかし実際には、インターネット無料が必ずしも物件選びの必須条件にはなっておらず、物件が気に入り入居申し込みするか迷っているときに、あったら嬉しい設備として決め手の一つになっているものと思われます。

2.インターネットを利用する側から見た物件の違い

インターネットを利用する入居者の立場で賃貸住宅を分類すると、大きく3つに分けることができます。

1つめは、インターネットが無料で使える物件です。入居者にとっては、引っ越し後すぐにインターネットが無料で使えるので、回線にこだわりが無く手軽に使いたい人に向いています。家賃が安めの単身物件などにあると喜ばれるでしょう。

2つめは、インターネット設備がある物件です。この場合、回線が自分の部屋まで既に来ている物件であれば工事が不要なので、契約した回線業者から送られてくる機器を繋げばインターネットが利用できます。建物の共用部までしか回線が来ていない物件であれば回線の開通工事が必要となり、立ち合いも発生するなど利用開始までに時間と手間がかかる場合がありますが、自分で選んだ回線を単独で契約するよりも手続きは簡単です。月々の支払金額が割安になることが多く、インターネット利用代金を抑えたい人にメリットがあります。

3つめは、インターネット設備が無い物件です。この場合、一戸建てのように自分でインターネット回線を契約して開通工事を行うことになります。集合住宅1棟でインターネット回線が導入されている場合よりも月々支払う代金が割高になる場合がありますが、自分で料金を負担しても好きな回線を選びたい人にとってはマイナスになりません。

インターネット利用のイメージ

3.入居者が抱える問題と、オーナーが取るべき対策とは

入居者の立場から見た問題点として、インターネット無料物件やインターネット設備がある物件の回線が自分のニーズに合わない場合があることが挙げられます。

集合住宅では1つの回線を分配してみんなで共有している場合が多く、単独で回線を引くよりも回線速度が落ちてしまいがちです。コロナ過での緊急事態宣言中は、在宅で仕事をする会社員や授業を受ける学生が増えたためインターネット利用が集中し、回線速度が遅いというクレームが一気に増えました。前出した総務省の通信利用動向調査では、テレワークを「導入している」「具体的な導入予定がある」と回答した企業は約3割でしたが、新型コロナウイルスの影響を受けている現在は更に増加していると思われ、インターネット回線への関心度は高まっていくでしょう。

その他にも、複数の部屋で4Kやフルハイビジョン動画をストリーミング再生したい、世界中の人とオンラインで対戦するFPSと呼ばれるシューティングゲームが趣味、動画配信をしている、株式のデイトレードを行っているなど、インターネットの利用目的は多様化しています。

オーナーが取るべき対策としては、まずは自分の物件のインターネット設備の有無や、既にある場合にはその内容をしっかり把握することです。同じインターネット回線業者でも物件ごとに回線の引き方や種類が違い、その速度や安定性も異なるからです。

次にすべきことは、既存の回線がニーズに合わない場合に、入居者が自分で回線を契約して利用できるかを確認しておくことです。引き込み工事の際に、物件の壁に穴を開けたりビス止めする許可を求められることもありますが、そのような要望があった場合にどうするか、方針を決めておくことも必要でしょう。穴あけ、ビス止めは禁止として、回線工事不要のポータブルWi-Fiやルーター等を使用してもらうと割り切るのも一案だと思われます。回線の種類によっては物件に穴あけやビス止めをしないで引き込み工事ができる場合もあります。入居者から要望があった際に代替案をスムーズに示すことができれば、顧客満足度が高まると思われます。

入居者のインターネットの利用頻度や利用目的は多種多様であり、全ての人のニーズを満たすことは困難ですが、自分の物件の入居者のターゲット層を明確にし、その暮らしぶりを想像しながら導入する設備を決めたり、どんな方法が導入可能なのかを調べておくことは、インターネット社会における賃貸経営に必要な知識と言えるでしょう。

著者

伊部尚子

公認不動産コンサルティングマスター、CFP®
独立系の賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2021年4月28日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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