3.セーフティネット住宅登録のメリットと注意点
セーフティネット住宅として登録することのメリットとして、オーナーが一番気になるのは、登録住宅の改修・入居への経済的支援だと思います。
改修費の補助は間取り変更やバリアフリー改修などの工事の時に利用できます。補助額は市区町村で異なり、例えば戸当たり50万円、工事費の三分の二まで、などのルールが決まっています。家賃補助や家賃債務保証料低廉化の補助は市区町村で異なり、世帯月収が15.8万円以下の、生活保護受給者以外の低所得者に対し、例えば月2万円の家賃補助が出る、入居時に家賃債務保証料のうち一部が出る、などというイメージです。
これらの補助に魅力を感じるオーナーが多いようですが、ここには二つの注意点があります。
一つ目は、この二つの支援策は、【専用住宅】のみを対象としているということです。つまり、このメリットを享受しようとするならば、専用住宅とする覚悟を決める必要があります。特に改修費補助を受けるには専用住宅として10年間管理運営することが必要なので、数年で売却する予定がある場合などは原則として対象外となります。家賃補助についても近隣の同種の物件と同水準の家賃設定であることが必要なので、補助があるからといって家賃を高くすることはできません。
二つ目は、全ての地域でこの支援策が使えるわけではなく、物件所在地の区市町村で補助制度がある場合のみ受けることができるということです。この制度を利用して不動産投資をしようと物件を購入した後に、対象地域ではないことが判明したオーナーもいらっしゃいましたので、利用をお考えの方は事前に物件所在の市区町村に問い合わせをし、制度についてしっかり調べることをお勧めします。
これらのことを考えると、セーフティネット住宅に登録してメリットを享受するには、市区町村の補助があるエリアに、長期保有する予定の新耐震基準の物件をお持ちのオーナーが、間取り変更などの大掛かりな工事を予定しているタイミングに登録するのが良さそうです。普通の工事では入居募集が難しそうな1Fのお部屋に限定して導入するなども考えられるでしょう。また、入居者の支援に関しては、地域の居住支援協議会や地域包括支援センターが相談窓口になりますので、確認しておきましょう。