4.法制化に際し、今後オーナーは何をするべきか
現在管理会社に賃貸管理業務を委託しているというオーナー様で、「管理会社に何の業務を委託しているのか」をしっかり把握されている方は、案外少ないのではないでしょうか。
国土交通省の「賃貸住宅標準管理委託契約書」によると、管理業務は①契約管理業務②清掃業務③設備管理業務の3つに分類されています。今回の法制化の管理業務定義の、「賃貸住宅の維持保全」は②と③、「家賃・敷金等金銭の管理」は①に当たります。
賃貸管理業務の内容は多岐に渡り、①の契約管理業務には、設備故障の修繕や、入居者間の騒音や居住マナーに関する苦情対応、契約更新に関する業務、解約時の敷金精算業務などが含まれます。
②の清掃業務についても、拭き掃除や掃き掃除だけでなく、機械を使った床清掃や、ゴミ出し、ガラス拭きなど、建物ごとに必要な作業の内容は変わってきます。
③の設備管理業務は、エレベーターや消防設備の点検、増圧ポンプの点検、受水槽の点検清掃など、建築基準法や消防法、水道法などの法律で定められているものが多数あります。オーナーには所有者責任があるため、知らなかったでは済まされません。
管理会社を比較検討する際に、「管理委託料○%」が高い、安いという話をお聞きしますが、そもそも管理会社ごと、物件ごとに管理委託内容が違うため、管理料率だけで単純に比較することはできません。現在管理会社に業務を委託しているという方は、管理委託の内容、項目や頻度などをきちんと確認し、必要があれば委託内容の追加や変更を検討すると良いでしょう。
現在自主管理で、これから管理業務委託を検討するという方は、管理委託契約の締結時期によっては、今回の法律が関係してきます。制度に関する考え方や具体的なガイドラインについては今後示される見込みですので、動きを注視していきましょう。