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「水害ハザードマップ」が重要事項説明に追加!オーナーが知っておくべきこととは?

連載タイトル:「不動産投資」管理の重要なポイント(第20回)

公開日:2020年9月30日

この記事の概要

  • 近年、豪雨や台風などによる大規模水害が頻繁に発生していることを受けて、宅地建物取引業法が改正となり、2020年8月から施行されています。不動産の賃貸借についても例外ではなく、重要事項説明において水害リスクに関わる情報についての説明が追加されました。オーナーが知っておくべき点をまとめてみます。

「水害ハザードマップ」が重要事項説明に追加!オーナーが知っておくべきこととは?

1.過去の法改正と異なる点とは

不動産業者が賃貸借契約を行う際、契約締結前に重要事項説明をしなければなりませんが、その内容には過去にも様々な追加がありました。

2006年4月には、「石綿(アスベスト)調査に関する事項」と、「耐震診断に関する事項」が追加され、2018年4月には、「建物状況調査(インスペクション)」に関する事項が追加となりました。

石綿の調査に関する事項について不動産業者がすべきことは、「石綿の使用を調査した記録があるか無いか」を説明し、記録が無い場合はそれで終了、ある場合にはその内容を説明するというものです。居住用の賃貸物件の場合は調査記録があることはまれなので、ほとんどが「無し」と説明することになります。

「耐震診断」や「建物状況調査(インスペクション)」も同じような手順であり、居住用の賃貸物件の場合は、実務上、大きな影響は無かったと言えるでしょう。

2.水害ハザードマップをどのように説明するのか

今回の法改正で不動産業者が説明する必要のあるハザードマップとは、「水防法第15条第3項の規定に基づいて市町村が提供する水害ハザードマップ」と規定され、洪水ハザードマップ、雨水出水ハザードマップ、高潮ハザードマップの3種類を分けて説明する必要があるとされています。しかし、水害ハザードマップ作成についてのルールが統一されていないため、ホームページを見ても水防法に基づくものなのかどうか、洪水、雨水出水、高潮のどれに該当するのかが分かりにくい場合があります。また、ホームページに掲載されておらず、紙で配布していたり、そもそも作成していないという市町村もあるのです。

不動産業者が調査しやすいように、国土交通省は「ハザードマップポータルサイト」を作成し、各市区町村作成のハザードマップにリンクして、地域ごとの様々な種類のハザードマップを閲覧できるようにしています。調べる際にはまずそのサイトを見て、もし掲載がない場合には、建物のある市区町村に問い合わせをするという流れです。

説明の際は、水害ハザードマップを賃借人に提示しながら、建物の存在するおよその位置を示すことになります。実務上はハザードマップをプリントアウトして、物件の場所に印をつけて賃借人に説明し、添付書類としてお渡ししている不動産業者がほとんどでしょう。

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3.不動産業者やオーナーが出来ることとは

最近は水害がある度にショッキングな映像がテレビやインターネットで流れ、それを目にすることも増えているため、水害リスクを気にする賃借人も今後は増えて来ると思われます。重要事項説明の時に物件が浸水想定区域内にあることを知った場合、賃借人が水害対策の詳細について質問してくるケースも想定されますが、その場合、誤解を避けるために不動産業者からは各区市町村の問い合わせ先を案内することになっています。国土交通省からも都道府県に宛てて「水害ハザードマップの周知に関する不動産関連団体への協力について(依頼)」という文書が出され、市区町村へも周知するように依頼されており、説明については各市区町村任せとなってしまうのです。

オーナーが出来ることとしては、不動産業者と協力して近隣の避難所の情報を集めておく、物件所在地の市区町村が出している水害対策についてのリーフレット等があれば取り寄せておく、物件の倉庫などに防災用品を用意しておく、物件所在地の町内会などで災害対策が考えられていれば加入を案内するなどがあります。近隣にある避難所についての説明は義務付けられてはいませんが、最寄りの避難所だけでなく複数の避難所の位置を示すことが望ましいとされています。それらの説明があると無いとでは、賃借人の受ける印象も大きく違ってくるでしょう。

日本の河川は川の長さが短く、上流から下流への勾配が急です。年間の降雨量も多く、梅雨の時期や台風の時期に集中して降るために短時間で増水しやすいという特徴があります。そして、洪水時の河川水位より低いところにある都市も多いため、水害ハザードマップの浸水想定区域内にも多くの賃貸住宅が存在しています。

自然災害は誰のせいでもなく、100年に一度と言われるような災害が多い状況では予測することも難しいので、万一の時の対策を考えておくことが最大の防御になるでしょう。

著者

伊部尚子

公認不動産コンサルティングマスター、CFP®
独立系の賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2020年9月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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