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リフォーム前提の住宅ローンは早めの準備が必須

コロナ禍における住宅ローンの見直しポイント解説(第2回)

公開日:2020年12月24日

この記事の概要

  • 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で新築物件は減少し、中古物件の需要が強まりました。その結果、築浅の売り物件が少なくなり、築年数の経過した物件の購入を検討するケースも増えています。そのような物件では購入時にリフォームやリノベーションを行わないと、理想の暮らしは実現できません。ファイナンシャルプランナーの平井美穂さんは、その際の住宅ローン利用にあたっては早目の準備が不可欠と注意を促します。

平井美穂さん

今回はファイナンシャルプランナーの平井美穂さんに、今後さらに増えるであろう、住宅購入と同時にリフォームやリノベーションを行おうと考えている方に、その際の注意点を解説していただきます。

築年数が経過した物件では、同時リフォームが不可欠

–住宅の購入、買い替えの時にリフォームやリノベーション※を同時に行おうと考える方は多いのでしょうか。

※一般的に、リフォームは老朽化した設備を取り替えたり、汚れた内装をやり替えて新築時に戻す工事、リノベーションはさらなる付加価値向上を目的に、新しい設備を入れたり、間取りそのものを好みに変えたりする工事と使い分けられていますが、本記事では基本的に二つを合わせてリフォームと表記します。

平井:2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でデベロッパーの業務に影響が出て、新築物件の供給が減りました。その結果、住宅購入希望者が中古物件を検討するケースが増えました。そうなるとやはり築年数の浅い物件を希望する方が多いので、それも少なくなり、比較的築年数が経過した物件を購入する方も増えています。

築年数の浅い物件でも、壁紙の張り替えなどある程度のリフォームを実施する方はいますが、築年数の経過した物件では大規模なリフォームを購入時に行う方が多くなります。暮らしの満足度を上げるために引っ越しをするのに、設備が古くて生活のレベルが下がっては意味がないわけですから、当たり前ですね。少なくともリフォーム費用に100万円以上はかかり、一戸建てで耐震性の強化まで行う場合には2000万円以上かかったケースもあります。

–そうなると住宅取得の資金計画にも大きく影響しますね。

平井:当然、物件購入資金(代金)に加えてリフォーム工事費も調達しなくてはなりません。金融機関はリフォーム専用の「リフォームローン」も取り扱っていますが、これは住宅ローンと比較すると金利が高いのが一般的です。ですから、リフォーム工事費も住宅ローンと一体で調達するのが基本的にはお得です。ほとんどの金融機関の住宅ローンはそれに対応していますから、購入資金とリフォーム工事費を合わせた金額を借りてしまいましょう。

ただし、そうするためには新築住宅購入とは違っている点を理解しておかないと慌てることになりますから注意をしてください。両者で一番異なるのが代金支払いのタイミングです。一般的に新築住宅の購入では、代金支払いは契約時の手付金の支払いと引き渡し時の残代金の2回だけです。それに対して、中古購入とリフォームを同時に行う場合、リフォーム工事費の支払いは、前払い金と完成後の2回などに支払いを分けることも多いので、全部で4回以上になることも少なくありません。それぞれのタイミングで資金を用意する必要があるのです。

もちろん、中古購入+リフォームで住まいを手に入れる場合でも、売主があらかじめリフォームした物件を販売している場合は、新築購入と同じです。その場合は新築に準じて住宅ローンを借りれば問題ありません。

–何回も支払いをする必要がある場合、住宅ローンはどのように借りることになるのですか。

平井:大きく分けて2つ方法があります。一つは「つなぎ融資」を活用する方法で、「フラット35」で住宅ローンを借りる場合などで使われています。もう一つは「分割融資」と言われる方法で、こちらはメガバンクの住宅ローンなどで使うことができます。つなぎ融資を用いた場合、その金利が、住宅ローン金利よりも高く設定されていることから、分割融資を利用したほうが、総支払額は低くなるのが一般的です。ただ、つなぎ融資と分割融資を両方とも取り扱っているメガバンクなどでも、分割融資は購入物件や審査結果によっては利用できないこともあります。

分割融資は、物件購入、リフォーム工事費の支払いが必要になるタイミングで、それに応じた額をそれぞれ融資してもらうやり方ですから分かりやすいと思います。その一方で、つなぎ融資を利用する方法は、少し分かりにくいので、勉強しておきましょう。

■とにかく早くリフォーム事業者と相談することが大切

–それではつなぎ融資を利用した場合について、くわしく説明していただけますか。

平井:それでは、下の図で説明しましょう。これはリフォーム工事費の支払いを手付金、着工金、残代金の3回で行うケースです。まず、購入する住宅が決まったら、不動産会社に申込みを入れ、売買契約を結ぶことになります。この際に、一般的には代金の一部として契約手付金を支払う必要があります。手付金の金額は条件交渉によりますが、不動産価格の5%~10%で決まることが多いです。手付金については、ひとまず借入れではなく手元資金から用意する必要がありますから注意してください。

同時につなぎ融資を前提とした住宅ローンを申し込みます。申込み金額は物件価格とリフォーム工事費の合計です。そして住宅ローンの審査が通れば、次につなぎ融資のローン契約を結び、物件の購入代金やリフォーム工事の契約金・着工金は、その都度つなぎ融資を受けて支払うかたちです。最後にリフォーム工事が完成し、引き渡しされる時にようやく住宅ローンが融資実行され、その資金でリフォーム工事の残代金と、これまで融資を受けたつなぎ融資を完済するという流れです。返済スタートは基本的には、住宅ローンの融資が行われた後になります。

中古物件購入と同時にリフォームを行う際のマネーフロー(つなぎ融資)

–リフォームしている間は、つなぎ融資を利用するということですね。

平井:大規模なリフォームでは、工期が半年以上かかるケースもあります。その場合、つなぎ融資の金利が高いと総支払額にそれなりに影響することがお分かりいただけるかと思います。また、前述のように、住宅を購入するための契約をする時には、住宅ローンもつなぎ融資も融資実行される前なので、手付金は一時的にでも手元資金でまかなう必要があります。また、図では簡略化するために省きましたが、物件代金とリフォーム工事費以外に諸費用も基本的には手元資金で支払わなくてはなりません。資金計画に当たっては、手元資金でそうした支払いに対応できるかどうか、きちんとチェックしておいてください。

そしてもう一つ、重大なポイントがあります。それはリフォーム工事の費用をなるべく早い段階で見積もる必要があるということです。リフォーム工事の費用も含めて融資を希望する場合は、審査申込み時に裏付けとなるリフォーム工事の費用見積もりを金融機関に提出します。見積もりですから、最終的な工事契約額や支払い額とは多少違っていても構わないのですが、後から資金が足りないということにならないよう、早い段階でリフォーム工事を依頼する事業者を決めて、こちらの要望を伝えて算出してもらいましょう。

–購入物件の選択とリフォーム内容を考えるのを同時に実行しなくてはならないわけですね。

平井:それも現状では、できるだけ早く2つを行う必要があります。冒頭で説明した通り、現状は条件の良い中古物件がかなり少なくなってきています。少しでも早く意志決定をしないと別の購入希望者に物件を買われてしまう可能性が増えてしまいます。購入物件を決めてから、ゆっくりとリフォーム内容を検討し、住宅ローン計画を詰める余裕はなくなっています。時間短縮のためには、購入希望物件内見の段階からリフォーム事業者を連れて行ければベストです。リフォーム事業者が物件を見れば、工事できること・できないことや、やっておくべきことなどがある程度分かります。リフォームを数多く手がけてきたプロの目で、チェックしてもらうことにより、リフォームを前提とした住宅選びの失敗を避けることもできます。

現在、政府も中古不動産の流通を活発化させようとしています。今後ますます中古+リフォームで理想の住まいを手に入れようと考える方も増えると思います。それを少しでも安く実現するにはリフォーム資金を同時に調達する住宅ローンの仕組みを理解して、リフォームに関してもできるだけ早めに事業者に相談し準備しておくことが大切です。

解説

平井美穂さんのプロフィール

大学卒業後、マンション販売会社に勤務。その後、金融機関に転職をし、都市銀行およびモーゲージバンクにて融資業務・資産運用相談を専門とする企業系ファイナンシャルプランナーの仕事に携わる。出産を機に退職し、独立系ファイナンシャルプランナーとして住宅購入のアドバイスを中心に活動。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2020年12月24日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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