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失敗しない戸建て建築会社の探し方

戸建てを購入する際に、絶対に知っておくべきこと(第4回)

公開日:2019年9月27日

この記事の概要

  • 新築戸建て住宅を手に入れるには、建売住宅を購入する方法と、土地を手に入れてその上に注文住宅を建築する方法があります。中でも、あこがれは自分の思い通りの注文住宅を建てることでしょう。その実現のためにどうすれば、失敗せずに建築会社を選ぶことができるのか。ポイントを解説します。

事前にチェックのイメージ画像

自らが所有する土地に、自らの希望に合わせて住宅を建てる。一般的に「注文住宅」と呼ばれる新築一戸建てを手に入れることにあこがれを持つ方は多いと思います。高額な買い物ですし、一生に何度もないイベントだけに失敗は許されません。しかし、注文住宅の建築にかかわる事業者は様々で、玉石混交です。「この事業者に頼んでよかった!」と心から思えるよう、注文住宅の依頼先を選ぶまでの流れとポイントを紹介します。

スタートは自分の要望と予算の概略をまとめること

注文住宅の建築を依頼する事業者を決定する際には、以下のような進め方が一般的です。

  1. 要望まとめ、予算設定
  2. 情報収集
  3. 数社に相談して比較検討し、最終依頼先を決定する

まずやるべきは、建築主として、要望と予算の概略をまとめることです。依頼先を探す前に、どんな家を建てたいのか、要望を集約することが大切です。もちろん、その際は、建築予定の土地にどのくらいの大きさの建物が建てられるのか、法的な面からの確認が必要です。同じ広さの土地でも、建築可能な面積や高さが異なったり、建て方に制限があったりするからです。これについての詳しいチェックは専門家でなくては難しいですし、時間や手間もかかります。まずは、各地の建築士協会が実施している無料の相談会や家づくりセミナーなどを利用して、法的な面を確認し、要望集約に役立てましょう。

建築可能な面積や高さが分かれば、次に間取りやイメージなどを考える段階に移れます。新しい家での暮らし方について、家族全員の意向を整理しましょう。家族それぞれに夢見る暮らしや思い入れがあり、意見はなかなか集約できないかもしれません。それでも、どうしても実現したいことや、好みではないことなどについて、せっかくの機会ですから家族会議で話し合っていきましょう。時間がかかることかもしれませんが、家族団らんの楽しいひとときにもなっていくはずです。

この際の注意点としては、今現在の要望(広さ、間取り、動線、設備、室内イメージ等)だけでなく、将来の使い方も想定しておくことが大切だということです。子どもの成長や家族の加齢等に合わせて、家も使い方も変わってきます。「ライフステージ」の変化に伴う暮らし方の変化に対応できるようにしたいものです。

要望をまとめる際に、おおまかな予算を考えておくことも重要です。住宅ローンを予定している方もいらっしゃるかと思いますが、月々の返済額や返済年数といった資金計画を検討しておきましょう。住宅の新築の費用は、建物本体の建築費だけではありません。エクステリア(外構)の整備費はもちろん、登記費用や税金関連、家具・家電・インテリア購入代、引っ越し費用などさまざまな出費が伴います。夢を膨らませすぎた計画を実行して、後で生活が苦しくならないよう、概算とはいえ予算はシビアに考えることが肝要です。

依頼先候補の情報収集を行う

要望をまとめるのと並行して、依頼先についての検討も行います。その際の基礎知識として、依頼先には様々なタイプがあり、それぞれ長所や短所があることを覚えておきましょう。それを理解すれば、自分向きの依頼先が選びやすくなります。依頼先は大きく分けると、「ハウスメーカー」「工務店」「設計事務所、建築士」の3つが挙げられます。どれを選ぶかはまさにお好み次第といえます。

「ハウスメーカー」とは、テレビなどでも宣伝している住宅メーカーのことです。ある程度の標準仕様が定まっている「規格型」が中心のケースが多いようですが、自由に間取りを検討できる「自由設計」も手掛けているケースもあります。充実したカタログや住宅展示場を持つなど、完成後のイメージを浮かべやすいのが長所といえるでしょう。ただ主に手掛ける「規格型」の場合、ある程度、仕様が決まっているケースがあることは物足りなく感じるかもしれません。

「工務店」は、地域に根付いた比較的小規模の住宅建築会社です。住まいづくりに対する哲学を持ち、工法や性能、建材・設備等へのこだわりがある会社がたくさんあります。ハウスメーカーは全国一律の標準的な仕様を基本にしますが、工務店は、地域の気候特性に合わせた設計をしたり、地場の建材を使用したりするなど、地域にマッチした家づくりを行うケースも見られます。ただ、その家づくりの実力や信用力は様々ですから、きちんと確認する必要があります。

住宅建築にローコスト化が求められる中、近年目立つのはハウスメーカーと工務店の中間的な存在です。戸建て住宅のプランを開発する本部と、地域のビルダーや工務店などがフランチャイズ契約を結んでチェーン展開を図っているタイプがその代表例です。本部が決めた設計で、大量の資材を発注することでローコスト化を図れるメリットがあります。

このタイプは間取りのバリエーションなどがハウスメーカーの企画型よりも乏しいケースも少なくなく、注文建築としてのだいご味をあまり感じられないかもしれません。ただし、長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス:高い省エネ性能と太陽光発電等によって家庭内のエネルギー収支を0以下にする住宅)仕様など、コストバリューだけでなく性能追求型やデザイン性に優れた商品も数多く登場しています。

最後の「設計事務所、建築士」は、その名前の通り設計を主業務としている事業者です。施工は原則として、工務店などに別に依頼します。その依頼先探しのサポートや、工務店が正しく施工するかをチェックする「監理」の業務も請け負います。ハイセンスでデザイン性の高い家づくりが自由にできますから、他にないマイホームを持ちたい方にはおすすめです。その反面、建築士や設計士のテイストや考えが如実に反映されるので、それが合うかどうか慎重に見極める必要があります。ハウスメーカーや工務店の建てる住宅は、建築費に設計料が含まれている場合が多いようですが、設計事務所や建築士は設計料と建築費は別に支払う必要があります。

以上の違いを知った上で、洋風外観か和風外観か、木造か鉄筋コンクリート造かといった自らの要望をかなえてくれそうな事業者を、インターネットや家づくり情報誌などで探しましょう。各事業者は、特徴や得意分野を持つケースがありますから、それをチェックするのも大切です。例えば、「ローコストでも雰囲気がいい」、「規格型でも自由設計性が高い」、「平屋に強い」、「狭小住宅が得意」、「地域の天然材を使用する」、「古材を活用して落ち着いた雰囲気をつくる」といった特徴が見られます。事業者はたくさんありますから、目移りしてしまうかもしれませんが、まずは数社に絞りましょう。

数社に相談して、本格的に比較検討

要望を叶えてくれそうな事業者を数社に絞ることができたら、本格的に相談します。候補とした事業者にコンタクトを取って打ち合わせし、家づくりの希望や予算等について伝えましょう。各社の設計担当者が、マッチしたプランや見積もりを出してくれるはずです。この段階ではプランの出し方は各社、様々です。かなり詳細な設計図などを無料で用意してくれるケースもあれば、概略だけというケースもあります。プランの詳細な内容については、各社のプレゼンテーションにじっくり耳を傾け、各社の意図を確認しましょう。また、プラン図は時に「オプション」が含まれている場合もあるので、見積もりについてはどこまでが標準費用に含まれ、どこからがオプションとなるのかを確認してください。

この段階(あるいはその前のプラン提出を依頼する前の段階)で、できれば実行したいのが、その事業者の手掛けた住宅の「お宅訪問」です。事業者に依頼して、以前のクライアントを紹介してもらい、実際に建設された家を見せてもらい、住み心地をヒアリングします。家の建築では、設計図はもちろん、写真でみてもイメージがつかめないことがあります。建築後にイメージと違ってがっかりといったことがないように、その事業者の「作品」を見せてもらいましょう。同時に住み心地やアフターフォローなども確認できます。

ハウスメーカーや大きな工務店は、自社でモデルハウス等を用意していることも多いのでぜひ内覧してください。事業者によっては一晩泊まれる「宿泊体験会」を行っているので、実際の住み心地を実感できることもあります。一方、小さな工務店や設計事務所等も既存客宅を舞台に「OB客宅見学会」「住み心地体験会」などを実施しているケースがあります。実際に建てた方の生の声を聞く機会なので、参加する価値があるはずです。とにかく大切なのは、図面やパースなどだけでイメージするのでなく、実物に触れて「体感」することです。

プランニングと同時に、資金計画に関するヒアリングも行われるはずです。全体予算のほか、自己資金や希望ローン借入額、現在の収入や資産等を伝えることで、おすすめの資金計画も提示されるはずです。FP(ファイナンシャル・プランナー)を抱える事業者であれば、新築時だけでなく将来にわたっての収支シミュレーションを行ってくれ、より安心です。

提出されたプランや資金計画などを、十分に比較検討して、最終的に依頼先を決めます。安い買い物でないだけに、慎重に依頼先を決めていく必要があります。自分たちの希望にかなった1社を選ぶためのポイントをランダムに挙げておきます。

  • 担当者との相性はよいか(満足度は人対人でも大きく変わります)
  • 将来も含め、無理のない返済プランを提示してくれているか
  • アフターサービスや保証(かし保険等)は十分か(信用力確認や万一のトラブル防止に必須)
  • 提示した性能を正しく施工できる施工能力があるか(高性能の建材を使用しても、正しく施工しないと性能が発揮できません)
  • メンテナンスや長期修繕計画等を提示するなど、維持管理業務も熱心か(引き渡し以降は熱心でなくなる事業者がいます。ポータルサイト等で評判を確かめるのも手です)
  • 新築時の図面や契約書、各種図書を住宅履歴として保管してくれるか
  • 住まいの「ホームドクター」として、いつでも駆けつけてくれるか

分譲マンションは区分所有者全員でつくる管理組合が維持管理や修繕等を計画・実施していきますが、戸建て住宅はメンテナンスもすべて自己責任で行う必要があります。それだけに、新築時だけの付き合いでなく、将来の維持管理面にもできる限り対応してくれる、永続的な関係性のもてる事業者を選びたいものです。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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