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土地の使用用途や制限について確認しよう

戸建てを購入する際に、絶対に知っておくべきこと(第2回)

公開日:2018年3月29日

この記事の概要

  •  中古戸建住宅を購入したり、土地を購入して戸建住宅を建築したりする場合、土地のチェックが欠かせません。第1回は土地の強度や災害リスク、土壌汚染といった安全性について説明しました。今回は、都市計画法や建築基準法などの法律面のチェックポイントを解説します。

土地についてのチェックポイントのイメージ画像

土地の利用法には都市計画法や建築基準法といった法律による様々な制限があります。その制限は土地によって異なります。同じ広さの土地でも、建築できる建物の面積や高さ制限が異なることもありますし、場合によっては建物が建築できないこともあります。制限の内容を知っておかないと、土地の価値について的確な判断はできません。また、中古戸建住宅を購入して、将来建て替える際に希望通りの建物を建築できない可能性も出て来るのでチェックが必要です。

宅地建物取引業法において重要事項の説明が契約前に義務付けられています。その際に使用される「重要事項説明書」に、土地に対する法律面の制限も網羅されています。重要事項説明書は各種の不動産取引関連団体などがひな形を用意してします。それらの内容や順序はほぼ同じです。今回は一般財団法人「不動産適性取引推進機構」の資料に基づいて説明します。

都市計画法関連では計画道路に要注意

重要事項説明書には、まずそれを説明する宅地建物取引士と取引の対象となる不動産の表示(住所、面積など)が記載されます。続いて取引の対象となる宅地または建物に直接関係する事項が並びます。直接関係する事項の最初は登記事項です。これも非常に重要なのですが、今回、説明するのは、その次の「都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要」や「敷地と道路との関係」になります。

「都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要」の最初は「都市計画法に基づく制限」の情報です。都市計画法は土地のあり方や利用法、道路・公園などの施設の整備、市街地開発について計画し、実現を目指したものです。都市計画上の都市の範囲を都市計画区域と呼び、大きく「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分されます。市街化区域とは、市街化を促進する区域、市街化調整区域は抑制する区域です。

重要事項説明書の「都市計画法に基づく制限」の記載例

重要事項説明書の「都市計画法に基づく制限」の記載例

一般社団法人 不動産適正取引推進機構「これでわかる!『重要事項説明書』」より
(赤字部分が記載例)

原則として、市街化調整区域には建物の建築はできません。市街化区域や市街化調整区域に定められていない都市計画区域を「非線引区域」といいます。「準都市計画区域」とは、都市計画区域外ながら整序ある土地利用のために都道府県が指定した区域です。

この欄で注意が必要なのは「都市計画道路」の部分です。都市計画で決定された道路を都市計画道路といいます。そうした道路が今後作られる土地や区域においては、立ち退きを求められたり、建築に関して制約を受けたりすることがあるため、この欄に注記がある場合はその内容をよく確認してください。

建築基準法関連の規制も注意が必要

次は「建築基準法に基づく制限」の情報です。その最初に用途地域名があります。都市計画法では一定の生活環境を守るために各土地(地域)の利用用途を定めており、12の用途地域を設けています。用途地域ごとに建築できる建物の種類や大きさなどが建築基準法で制限されています。

例えば、第一種低層住居専用地域は低層住宅の良好な住環境を守るための地域です。住居以外は、床面積の合計が50m²までの小規模な住居兼店舗や小規模な公共施設、小中学校、診療所などしか建築できません。

都市計画法では、用途地域以外に様々な地域地区の指定が行われ、それぞれに建築基準法よる建築制限が設けられています。例えば都市機能が集中しているエリアには「防火地域」や「準防火地域」の指定がなされています。これらの地域では、万一の火災でも延焼しないよう、エリア内で建てる建築物について構造や材料等の制限が課せられます。

「高度地区」も都市計画法に規定されている地域地区の一つです。市街地の環境を維持したり、土地利用の増進を図ったりするため、建築物の高さの最高限度や最低限度が定められます。「建築協定」とは、建築基準法で定められた基準をさらに事細かく定めた該当エリア独自の協定です。建築基準法に基づく制限の中で特に注意を払うべき項目に、建ぺい率と容積率の制限があります。建ぺい率は、その土地の面積に対する真上から見た建物の面積の比率のことです。容積率は土地の面積に対する、建物の各階の床面積を合計した延べ床面積の比率です。同じ土地面積でも建ぺい率が高いほど1フロアの面積が大きい建物が建築でき、容積率が高いほど延べ床面積の大きい建物が建築できることができます。

建物の大きさに対する制約として「高さ制限」もあります。建物の高さの上限を制限するもので、用途地域等によってそれぞれ上限が定められています。第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域では、10mまたは12mと定められています。

「斜線制限」では、道路や隣接する建物等の間に一定の空間を確保するため、道路境界線や隣地境界線からの距離に応じて建築物の各部分の高さが制限されます。道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線と3つの斜線制限があり、建物同士が密接しにくくなる効果があります。

重要事項説明書の建築基準法に基づく制限の記載例

重要事項説明書の建築基準法に基づく制限の記載例

一般社団法人 不動産適正取引推進機構「これでわかる!『重要事項説明書』」より
(赤字部分が記載例)

どのように、どんな道路に接しているのか

最後に、「敷地と道路の関係」を解説します。土地は広さや形、あるいは用途地域などが同じでも、どのようにどんな道路に接しているのかによって、建築などの制限に違いがあります。

まず、接道義務について知っておきましょう。災害時の避難経路や消防車や救急車などの緊急車両が接近する経路を確保などの理由から、建築物の敷地は4m幅の道路に間口2m以上接していることが建築基準法で求められています。これが接道義務です。

したがって、土地が道路に接していないか、接していても2m未満である場合は、新たに建物を建築できません。ただ接道がなくても、その土地に既存している建物を壊す義務まではありません。既存の建物に住むことは可能ですから、そんな接道のない土地に建っている「再建築不可」の物件が売られていることもあります。

接道義務の「接道」の対象となるのは、建築基準法上の道路として認められたものだけです。その土地に接している道路が、その要件を満たしているのか慎重にチェックする必要があります。一見、接道しているように見えても、実は他人の土地を通路として使えているだけといったこともあるからです。

道路の中には、将来、幅4mを確保することを前提として建築基準法上の道路として認められているケースもあります。それに接道している場合は、4m幅の道路にするため、土地の一部を道路として提供しなくてはなりません。これをセットバックといい、使用できる土地の面積は狭くなってしまいますが、合法的な建て替えが可能になります。

重要事項説明書の敷地と道路の関係の記載例

重要事項説明書の敷地と道路の関係の記載例

一般社団法人 不動産適正取引推進機構「これでわかる!『重要事項説明書』」より
(赤字部分が記載例)

今回は、重要事項説明書をもとに土地の関する重要な法律面のチェックポイントを紹介しました。これら以外にも注意を払うべき項目はたくさんあります。そのすべてを網羅するのは大変です。購入してから、思ったような建物が建築できなかったり、将来、建て替えの時に不都合が生じたりしては大変です。建築士など建築基準法等を熟知した専門家に相談するのが現実的だと思われます。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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