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売却額がそのまま手に入ると思っていると慌てることになる

売却代金のトラブルを回避する Vol.1

公開日:2016年6月30日

新しい住宅の購入資金や相続税の支払いなどのため、現在の持ち家や親などから相続した不動産を売却することがあるでしょう。

その際、予定通りの額が手元に残っていないと慌てることになります。そうならないためには売却代金のうち、どれだけが手元に残るか、しっかりと試算しておくほうが無難です。売却の前に査定を依頼するようなケースでも、提示された査定金額(売却見込金額)ではなく、実際の手取り分を確認しておくべきです。

マンションや一戸建て購入のときと同様、売却時にも仲介手数料や税金などさまざまな費用が発生します。これらは成約金額から差し引かれ、その差額が最終的に手元に残ることになります。

手残りは売却価格よりも3~5%少なくなる

不動産の売却時には、まず以下の費用が必要になります。

不動産売却時に掛かる費用例

項目 概要
仲介手数料 売買価格(税抜価格)×3.24%+6.48万円
※価格が400万円以超の場合の簡略式(消費税含む)
司法書士への報酬 登記に伴う費用。抵当権が設定されている場合は抹消費用等
印紙税 売買契約書に貼付

では仮に3800万円と査定された中古マンションを実際に売却すると、最終的にはいくらになるか、表の項目を基に試算してみましょう。

3800万円の中古マンション売却の際に掛かる諸経費

項目 金額 計算式、費用の根拠
仲介手数料 129.6万円 3800万円×3.24%+6.48万円(消費税を含む)
司法書士報酬 3万円 司法書士、ケースにより異なります。
印紙税 1万円 1000万円超〜5000万円以下、軽減措置(平成30年3月31日までに作成)の印紙税率を適用

合計で約135万円になりました。3800万円と査定された中古マンションを実際に売却すると、差額の約3665万円が実際の入金額になるということです。

これ以外に売却物件にローン等の残債が残っていけば、売却代金などで相殺して一括で支払う必要があります。その際には繰り上げ返済手数料が必要な場合があります。土地付き一戸建ての場合には、土地を測量して、隣地や道路との境界を明らかにして実測面積を明らかにして、書面を作成する「境界確定」や「官民査定」といった費用に関して売主負担を求められるケースも考えられます。

こうしたことから、売却後の手取り額は売却額よりも3〜5%ほど少なくなることを覚えておく必要があります。買い替えの場合で資金計画を立てる際にはそれを考慮しましょう。

売却後に必要なお金、戻ってくるお金とは?

取引が成立した代金を受け取ったからといって安心しているわけにはいきません。売却後に必要なお金があるからです。その代表的なものが、売却で利益が出た場合にかかる所得税や住民税などです。以下の計算式と税率になります。売却益は、売却価格から、その物件を購入した際の価格や売買時の諸経費を差し引いたものです。

譲渡所得の算出方法

算出計算式 備考
売却価格  — ( 取得費 + 売却時の諸経費 ) 居住用物件であれば3000万円の特別控除がある

居住用財産の税率(譲渡した年の1月1日現在において、長期:所有期間5年超、短期:所有期間5年以下、所得税には復興特別所得税を含む。)

区分 所得税 住民税 合計
長期譲渡所得 15.315% 5% 20.315%
短期譲渡所得 30.63% 9% 39.63%

マイホームとして使用していた居住用物件の場合、要件を満たせば3000万円の特別控除が適用できます。逆に、売却によって損失が生じた場合、確定申告を行うことによって他の所得から損益通算でき、所得税や住民税が減るケースもあります。

それほど多くはありませんが、売却時や売却後、清算によって戻ってくるお金もあります。下の表が、その可能性のある項目です。

清算可能な費用

項目 概要
固定資産税・都市計画税 支払い済みの1年分の税金のうち、売買契約日以降分を買い主から売け取れる(日割り計算が普通)
火災保険料 複数年一括で掛けていた保険料の解約によって、支払い済み分の一部が戻ってくる
マンション管理費・修繕積立金 前払いで支払っていた費用について、決済日以降について買い主から日割り計算で受け取れる

これらの中には、売却の際に不動産会社が手続きする項目もありますが、売却した本人が手続きする必要のある項目もあります。手間を惜しまず、きちんと確認して手続きを行いたいものです。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。「中古住宅を宝の山に変える」「実家の片付け 活かし方」(共に日経BP社・共著)

本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
税金については、平成28年4月1日現在の法令によっております。法律改正等により、内容が変更となる場合があります。実際の不動産取引にかかわる税法上の適応の可否については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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