戸建て住宅の資産価値の本質は土地にあり
持ち家としてのマンションと戸建て住宅。どちらも土地と建物をセットで所有する不動産資産ですが、評価や査定の方法は大きく異なります。ざっくりと表現すると、“建物に重きが置かれるマンション、土地に重きが置かれる戸建て住宅”というのが、不動産市場での一般的な取り扱われ方です。
鉄筋コンクリート造の堅牢な建物を区分所有者全員で所有・管理する分譲マンションは、建物の利活用性に価値が求められる資産といえます。建物を長期使用(一般に60年以上)し、共用部(共有資産)・専有部(区分所有部=個人資産)を適切に維持管理していくことが、居住快適性とともに資産価値の維持につながります。
対して戸建て住宅は多くが木造で、建物寿命がマンションよりも短いことや、建築後にどのように維持管理されてきたかを確認しづらいこともあり、建物より土地そのものの価値が重要視される傾向にあります。
戸建て住宅はマンションより解体しやすいため、既存の建物をリフォームして住み続けるだけでなく、建物が老朽化している場合には建替えや更地化するといった他の利活用方法も検討できるためです(表1)。
(表1)土地付き戸建て住宅の将来の用途例
| 使用方法 |
既存建物 |
概要 |
| 住み続け |
継続使用 |
既存の建物をリフォーム等で引き続き使用 |
| 建替え |
解体 |
既存の建物を解体し、新たに住宅を建築 |
| 更地化 |
建物を解体し、駐車場やマンション、ビルなどに転用 |
*筆者作成
そのため、リセールバリューにもこだわるのであれば、まずは戸建て住宅が建っている土地の有するポテンシャルについて慎重にチェックする必要があります。
第三者にも通用する価値を持つ土地は値下がりしづらい
下記(表2)は資産価値の維持・向上を視野に置いた土地のチェックポイント例になります。いずれの項目も、購入後の安全性や居住快適性に直結するポイントですので、資産価値への個人的なこだわりに関係なくチェックすべき項目といえます。
(表2)中古戸建て購入時の「土地」に関する確認・検討ポイント例
| 確認項目 |
主なチェックポイント |
| ロケーション |
- ・日当り・眺望
- ・土地の高低差
- ・洪水、土砂災害、高潮、津波など、災害リスクの有無
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| 建築制限 |
- ・用途地域や、建てられる建物の高さや広さの制限
- ・将来、周辺に高い建物などが建つ可能性がないか
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| 交通利便性 |
- ・勤務先や繁華街など、主要スポットへの公共交通機関等の利便性
- ・最寄り駅からの距離
- ・道路交通網の充実
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| 周辺環境 |
- ・近隣の自然環境
- ・治安面
- ・近隣の交通量、騒音など
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| 地盤等の状況 |
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| 生活利便性 |
- ・買い物や飲食、日用品購入など、日常生活に不可欠な施設の有無
- ・医療施設、銀行、役所までの距離
- ・商業施設、娯楽施設などの有無
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*主に資産価値の維持面からのポイント
*筆者作成
中古住宅の購入検討時、設定した予算内で希望条件をすべて満たす物件は簡単には見つかりません。予算内に収めるために妥協が求められる項目もありますが、個人や家族として許容できるものであっても、将来の売却時に課題となる可能性が出てきます。一例として、最寄り駅から徒歩10分以上になってくると需要が減り、将来売りにくくなったり、成約までに時間がかかったりすることが考えられます。他にも坂道の有無、緑の多さ、近隣の騒音状況など、ご自身では不満に思わなくても、人によって許容度の違う項目はたくさんあり、リセールバリューに影響します。
建物と違い、土地は購入後に自力で資産価値を向上させる余地がほとんどありません。資産価値の維持・向上も重視するのであれば、その土地の有する“競争力”についても第三者的な眼で検討しておきましょう。
建物の査定ではどこをチェックされる?
では、戸建て住宅の建物については、将来的にどう評価されるのでしょうか。一般に建物の査定は、築年数と広さ、建築当初の住宅性能、現況の状態(コンディション)から検討されていきます。主な評価ポイントは以下になります。
築年数→経年とともに査定額は下がっていく
当然ですが、建物が新しいほど、将来の利用期間が長いと見なされ査定が高くなる傾向にあります。ただし建物の適切な維持管理が前提で、管理状態がよくない住宅は築浅であっても査定額が低めに抑えられるかと思います。
建築会社、建築時の住宅性能→新築性能より維持管理状況の方が重要
戸建て住宅は、ハウスメーカーや工務店、ハウスビルダー(建売業者)、設計事務所など様々な業態の事業者が設計・施工・販売しています。工法も様々で、木造だけでも在来工法(軸組工法)、2×4工法(枠組壁工法)、プレハブ工法など多岐にわたります。当然ですが元の住宅性能や仕様が高いほど査定は高くなります。建物への安心感から、大手ハウスメーカーの注文住宅など、ブランド力を有する戸建て住宅は査定面でも有利な傾向にありますが、その後の維持管理状況に大きく左右されます。
広さ・間取り→広すぎても敬遠されるケースがある
建物の延床面積が広いほど査定額も高めになりますが、近年平均世帯人員が平均2.17人と減少(厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」)を続けており、高齢化もあって広すぎると暮らしづらいと敬遠されるケースもあります。
間取りについても、部屋数やLDKの広さ、収納量など、上記のような現代の暮らし方とマッチしているかが査定に影響されたりもしますが、いずれにしてもエリアニーズに合致していることが大切です。
維持管理やリフォーム状況→何はなくても外装のメンテナンス状況をチェック
建物の査定では、基礎や柱、梁などの構造部のコンディションも重要な評価ポイントとなります。この構造部にシロアリ被害や雨水の浸入跡などが見られると耐久性の乏しい建物と見なされ、査定が低くなる可能性があります。そのため、その構造部を守る屋根や外壁などの外装が適切に更新されていることが、資産価値の維持に直結します。新築・中古問わず、入居後は外装を定期的にメンテナンス(一般に10〜15年おきに実施)するとともに、維持管理の記録を住宅履歴として保管、蓄積していくことが将来の査定面で大きくプラスに働きます。
ちなみに内装や設備の汚れ・老朽化も購入検討者の印象を左右するため、査定や売却時の評価に影響することがあります。リフォームなどで改善できる部分ではありますが、購入後も適切に維持・更新していくことが大切です。
性能やコンディションの「見える化」が大切
以上、様々な建物の査定ポイントを挙げましたが、最も大事なポイントは、その建物が適切に維持管理やリフォームされており、良質なコンディションを有していることが建物の査定額アップにつながるということです。マンションでは管理組合による計画的な維持管理がなされますが、戸建て住宅は所有者が不定期に任意で行っているのが実情のため、住宅性能やコンディションを“見える化”することが、将来の査定にも有利に働きます。
(表3)住宅性能やコンディションの「見える化」のために有効な制度・ツール例
| 制度・ツール |
概要 |
| 住宅性能表示制度 |
- ・第三者機関の評価による10分野・33事項の新築時性能について表示
- ・「設計」「建設」それぞれの評価書がある
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| 長期優良住宅認定評価書 |
- ・耐震性、省エネ性など長期優良住宅としての住宅性能を示す
- ・既存住宅でも性能向上リフォームで取得可能
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| 増改築等工事証明書 |
- ・耐震や省エネなどの性能向上リフォーム時に検査・評価してもらえる
- ・リフォーム減税などの公的支援制度利用時に必要
|
建物状況調査の 評価書・報告書 |
- ・建物のインスペクションによる現状性能評価
- ・売主の契約不適合責任の範囲の明確化にも役立つ
|
*筆者作成
こうした性能表示のための制度活用のほか、新築時の図面や保証書、維持管理やリフォームの記録など、住宅履歴を記録し、保管することが大切です。維持管理やリフォームは日常生活を快適に過ごすための必要投資でもあるので、その記録も併せて蓄積していきましょう。
繰り返しになりますが、土地は建物のように購入後に自力でバリューアップできません。したがって、資産価値の維持を考慮した戸建て住宅の選び方、住まい方のセオリーは、“購入前は主に土地の価値を確認し、購入後は建物の適切なメンテナンスやリフォームを実施”することといえます。
事前の検討と購入後の維持管理で、ぜひ快適な暮らしと資産価値向上の両立を目指してください。