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都道府県地価調査(基準地価)にみる地価動向New

みずほ不動産販売 不動産市況レポート

この記事の概要

  • 2026年の都道府県地価調査(7月1日時点)によると、全国の住宅地・商業地は5年連続で上昇した。住宅地では上昇が続いているが、地価公示との共通地点でみると、直近半年の上昇率はその前の半年を下回った。
  • その他地方圏の住宅地は、平均変動率は横ばいであるが、下落地点が過半を占めており、一部の価格上昇地点が全体を支えている。転入者の多寡や観光関連、産業集積などに関連する需要によって、地域ごとの価格動向に違いが生じている。
  • 今後は金利が上昇する中で、実需層が取得する住宅においては取得負担の増加を所得の伸びで、収益物件においては要求利回りが上昇した場合の価格下押し圧力を賃貸収益の伸びで、それぞれ吸収できるかが地価の動向を左右すると考えられる。

都道府県地価調査(基準地価)にみる地価動向

住宅地は上昇基調が続く中で地域差が鮮明に

2026年都道府県地価調査(7月1日時点)によると、全国の対前年平均変動率は、住宅地+1.0%、商業地+2.9%、工業地+3.3%となった。全用途平均・住宅地・商業地は5年連続で上昇し、このうち商業地は上昇幅が拡大した一方、住宅地の上昇幅は横ばいとなった。また、工業地は前年の+3.4%から上昇幅が縮小しており、用途による強弱がみられる[図表1]。

圏域別では、住宅地は東京圏+4.0%、大阪圏+2.3%へ上昇幅が拡大した一方、名古屋圏は+1.5%、地方四市は+2.9%へ縮小した。東京圏の中心である東京都区部は+8.3%から+8.7%へ拡大した。地方四市では札幌市+0.7%、仙台市+2.5%、広島市+1.8%、福岡市+5.5%で、広島市は前年と同率、他の3市は縮小した。特に仙台市は前年+5.1%から+2.5%へと縮小幅が大きい。

地価公示との共通地点で2025年後半と2026年前半を比較すると、住宅地の上昇率は全国平均で+1.6%から+1.4%へ、三大都市圏で+2.1%から+1.9%へ、地方四市で+1.6%から+1.1%へそれぞれ縮小した。住宅地の上昇は続いているものの、足元ではそのペースが緩やかになっている[図表2]。

[図表1]圏域別・用途別の地価変動率

[図表2]半年ごとの地価変動率の推移(地価公示、都道府県地価調査の共通調査地点)

その他地方圏では、平均変動率は横ばいでも地域によって明暗が分かれる

その他地方圏の住宅地は平均0.0%(横ばい)であった。ただし、前年の都道府県地価調査からの継続地点のうち上昇は29.9%にとどまる一方、下落は51.9%を占めており、一部の価格上昇地点が全体の平均を支えている。住宅地について、国土交通省は、子育て環境が整い転入者が多い地域では、堅調な住宅需要が地価を支えているとしており、居住先として選ばれる地域に需要が集まることが、地価の地域差に表れていると考えられる。一方、観光地では、国内富裕層や外国人の別荘・コンドミニアム需要が既存住宅地域にも波及している。北海道富良野市の「富良野-3」が32.0%、長野県白馬村の「白馬-2」が31.3%の上昇となり、全国の住宅地上昇率でそれぞれ1位、2位となった。

用途間の競合と産業集積が生む地価上昇の違い

商業地は東京圏+8.9%、大阪圏+6.8%へ上昇幅が拡大した。国土交通省は、店舗・ホテル需要の強さや、オフィスの空室率低下・賃料上昇による収益改善に加え、マンション需要との競合を背景に挙げている。住宅と商業が混在する地域の一部では、マンションと店舗・ホテル・オフィスの用地需要が競合し、地価を押し上げている。ただし、各用途の需要の強さや開発適地の多寡、建築費を含む開発の採算は地域ごとに異なる。このため、競合による地価の押し上げの度合いにも差が生じ、地域間の地価動向の違いにつながっていると考えられる。

工業地では、高速道路へのアクセスや労働力を確保しやすいことに加え、スマートインターチェンジ開通による交通分散が物流施設用地の利便性を高めたことを背景に、佐賀県鳥栖市の「鳥栖9-1」が25.0%上昇した。既存の物流集積に交通環境の改善が重なることで、用地需要がより強まったものと考えられる。

北海道千歳市では、住宅・商業用地の需要は引き続き旺盛ながら、周辺市町への分散や、地価・建築費の上昇が影響したことで住宅地・商業地の上昇幅が縮小した。一方、工業地ではラピダスが千歳市内の次世代半導体工場で2027年の半導体の量産化を目指すなか、半導体関連企業の用地需要が増加し、地価の上昇幅が拡大した。産業集積に伴う土地需要の広がり方には用途による違いがみられる。

金利上昇による取得負担と投資採算への影響

日本銀行は9月18日、政策金利の誘導目標を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げることを決定した。住宅ローンの借入金利が上昇した場合、実需層では所得の伸びが返済負担の増加をどの程度吸収できるかが重要となる。収益物件では、要求利回りが上昇した場合、純収益(賃料収入から運営費用を差し引いた収益)の増加によって価格への下押し圧力をどの程度緩和できるかが焦点となる。当面は、雇用情勢や成約件数、在庫の動向も踏まえた地域ごとの需給が地価の動向を左右するとみられる。

高価格住宅地にも広がる上昇速度の差

東京都区部の住宅地の平均価格上位5区において、千代田区・中央区・渋谷区では上昇率は10%を超えているものの上昇幅は縮小し、港区・文京区では拡大した[図表3]。前年はともに上昇率が13%台で並んでいた港区と中央区では、今回の変化幅には5.4%ptの差が開いた。国土交通省は、港区の最高価格地点では旺盛なマンション需要と用地の希少性が上昇を支えているとしている。

[図表3]東京都区部の高価格住宅地では地価上昇速度に差が生じている

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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