ホテル滞在では得られない価値——長期休暇のクオリティを高める「別荘保有」という選択New

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この記事の概要

  • 長期休暇の滞在先として多く挙がるのが、リゾート地にある高級ホテルや高級旅館。しかし近年のインバウンド増加や宿泊費高騰、人手不足などにより、サービス面での変化も見られます。別荘を保有することで、過ごす時間の質や満足度はどう変化するのか考察してみました。

ホテル滞在では得られない価値——長期休暇のクオリティを高める「別荘保有」という選択

ホテルや旅館など、宿泊施設をめぐる現状

2020年頃からのコロナ禍時、国内外とも人の移動が大きく制限されました。日本でもインバウンド(訪日外国人旅行者)が激減しましたが、その後の収束とともに急回復し、現在はコロナ禍前を大きく上回る水準となっています。2025年の訪日外国人旅行者数は4268万3600人と過去最高の数字となりました。

(図1)訪日外国人旅行者数の推移(1964~2025年)

(図1)訪日外国人旅行者数の推移(1964~2025年)

出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」を基に筆者作成

2026年上半期は中国政府による日本への渡航自粛の呼びかけなどの影響もあって2025年同期より微減となりましたが、欧米からのインバウンド客数増加により、消費額は前年同期を上回る水準に達しています。

そのインバウンド客も大勢利用するホテルや旅館などの宿泊施設ですが、近年滞在時の満足度に変化が起きています。その要因を整理すると

  • 客室不足から来る宿泊価格の高騰、予約の取りにくさ
  • 施設内の混雑・喧噪、マナー低下、サービスの低下

と、コストパフォーマンスとクオリティの両面での不満が浮かび上がります。

もちろんすべての宿泊施設で一律にそのような状態になっているわけではなく、エリアや宿泊施設のグレードなどによって濃淡があります。満足度低下の状況はハイクラスよりエコノミー〜ミドルクラスの方が顕著で、アッパー向けの宿泊施設への影響は比較的少ないとされています。

ただ、百歩譲って金銭的な負担増加については甘受できたとしても、それに見合うサービスのメニューやクオリティが追随しなければ利用者の不満は強まります。特に心身をリフレッシュさせる休息の機会となる場で、心穏やかに過ごせる静粛性やプライベート性、非日常性が損なわれることは避けたいところではないでしょうか。

見直される別荘滞在という休暇スタイル

近頃長期休暇の滞在方法として「別荘暮らし」が注視されているのも、穏やかな時間をご自身のペースで確保できる場であることが改めて認識されたためではないでしょうか。維持管理などの手間はあるものの、独占所有・専用使用によるプライベート性や自由度の高さは別荘の有する大きなアドバンテージであり、ホテルにはない様々な体験価値を利用者にもたらしてくれる空間ともいえます。

(表1)リゾートホテル滞在と比較した別荘保有のメリット例

メリット 概要
利用の柔軟性
  • ・思い立った日・期間にすぐに使用開始できる
  • ・チェックイン・アウトといった時間の制約がない
プライベート性
  • ・専用使用ゆえ周囲に気兼ねなく利用、滞在できる
  • ・ペットの同伴も問題なし
カスタマイズ性
  • ・建物の間取りや内装、インテリアを自由に改装可能
  • ・ホテルにない施設・設備を室内外に設置可能
ストレージ性
  • ・スポーツ用品など、現地でのアクティビティツールを保管できる
  • ・季節家電など、自宅の不要荷物の保管場所としても利用できる
資産性
  • ・土地や建物を不動産資産として保有できる
  • ・自己使用しない期間を賃貸し、収益化も可能(※1)

※1:民泊等として活用する場合は、エリアや営業日数、設備条件等、法令等に基づく制限があります

筆者作成

まず別荘の「利用の柔軟性」ですが、予約困難なホテルと違い、保有すれば365日自由に使用可能なのが別荘最大の魅力といえます。ふいに生まれた短い休暇の滞在先として思い立ったらすぐに現地に向かうことができ、逆に1週間以上の長期滞在の場としてもじっくりと腰を落ち着けられる場所となり得ます。また長期滞在するほどにホテルは滞在コストが高まりますが、別荘ではイニシャル(所有)コストをかける分、滞在が長期化しても総額はそれほど増えません。

そして高い「プライベート性」は、長期休暇という特別なイベントにおいて、滞在時間の質を向上させるファクターとして非常に重要です。プライベート性を売りにしているリゾートホテルもありますが、独占的な使用を約束する別荘は静粛性などの点でも優位となり、癒やしのひとときをより質の高いものにしてくれることでしょう。

加えて、ホテルの1室という空間の「借用」でなく、所有することによる、高い「カスタマイズ性」も挙げられます。ホテルの内装は高級であっても、自分たちの好みにフィットするかは別の話です。別荘であれば好きな家具やインテリアだけでなく、間取りさえ自由に変えられます。庭にサウナ小屋やドッグランなどをしつらえたり、リビングにワインセラーを配置したりして家族やゲストと共有するというのも、ホテルで実現しにくい贅沢な過ごし方といえます。

収納空間としても活用できる「ストレージ性」も、別荘の有する実用的なメリットです。季節の家電や衣服など、不用となる期間に別荘に一時保管できます。それは日常生活の場である自宅の快適性を高めていくことにもつながります。

なお、静粛性は求めつつも、滞在中に様々なアクティビティを存分に愉しみたいという方もいらっしゃることでしょう。そうした利便性も求めるのであれば、分譲型のリゾートマンションという選択肢もあります。プライベート性では戸建て別荘に劣りますが、サービスや管理面での利便性が高く、リゾートホテルと戸建て別荘、両者のメリットをバランスよく有するタイプのストックともいえます。

物件選びは滞在価値だけでなく、不動産的価値も吟味して

戸建て別荘やリゾートマンションを保有することは、不動産を所有することであり、資産形成にもつながります。リゾートホテルや高級旅館への宿泊費は消費されていくものですが、別荘であればこれらの出費を資産形成のための原資へ振り替えることにもつなげられます。

ただ別荘を保有することで、維持管理費用などのコストもかかります。また自宅(居住用の持ち家)と違い、別荘は売却までの時間が長めになりがちです。基本的には自己使用のための別荘ではありますが、将来売却することも考えて、購入する別荘のエリアや物件の流動性(買い手の見つけやすさ)についても検討しておきましょう。

別荘には、過ごす時間の質を高める「滞在価値」と、資産形成につながる「不動産的価値」があります。日々の暮らしの質を高めていくための手段ということで、個人的には滞在価値を優先させて別荘選びをしていただきたいと言いたいところですが、趣味性にこだわり過ぎて資産性を損ねるのは得策ではありませんから、リスク回避の意味からも「滞在価値」と「不動産的価値」の両面から吟味していきましょう。

ビジネスパーソンが有給休暇を十分に消化できていない日本においても、働き方改革やワークライフバランスなどの考えから、今後はもっと長期休暇が一般化していくことでしょう。それを待たずとも、皆さまのライフスタイルをよりいっそう豊かなものにしていくために、休日の過ごし方や質の追求は大切です。皆さまもぜひ、お時間のある際にご一考ください。

執筆

谷内 信彦(たにうち・のぶひこ)

建築・不動産ライター / 編集者。主に住宅を中心に、事業者や住まい手に向けて暮らしや住宅性能、資産価値の向上を主テーマとして執筆活動を展開している。近年は空き家活用や地域コミュニティーにも領域を広げる。著書に『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片づけ 活かし方』(共に日経BP・共著)。

※本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※2026年9月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。