Q.「はじめての大家さん。」この費用は物件取得費?それとも経費?
今年から投資用物件を購入し大家をやっています。この不動産を取得した時の費用は、税務上どのような取り扱いになるのかを教えてください。
回答と解説
個人ではじめて投資用物件を取得した時の支出は不動産の取得費となるものと、不動産経営時の経費となるものに区分されます。不動産の取得価額となったもので、建物に係る金額は、減価償却により経費として計上されることになります。
取得費となるもの |
経費となるもの |
- 土地の購入費
- 建物建築費
- 購入のための仲介手数料
- 固定資産税清算金
(翌年からの固定資産税は経費として計上されます)
- 建物等建築に際し支払った消費税
- 不動産取得のために支出した立退料
- 土地を取得するために要した測量代
- 建物購入後取壊し費用
- 地鎮祭、上棟式等の費用
- 借入金利息
(事業開始するまでの期間に係る部分)
|
- 管理費・修繕積立金
- 損害保険料(掛捨のもので、その年分のみ)
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 登記費用(司法書士報酬)
- 契約書の印紙代
- 借入金利息
(使用を開始した後の期間に係る部分)
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取得費となるもの |
- 土地の購入費
- 建物建築費
- 購入のための仲介手数料
- 固定資産税清算金
(翌年からの固定資産税は経費として計上されます)
- 建物等建築に際し支払った消費税
- 不動産取得のために支出した立退料
- 土地を取得するために要した測量代
- 建物購入後取壊し費用
- 地鎮祭、上棟式等の費用
- 借入金利息
(事業開始するまでの期間に係る部分)
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経費となるもの |
- 管理費・修繕積立金
- 損害保険料(掛捨のもので、その年分のみ)
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 登記費用(司法書士報酬)
- 契約書の印紙代
- 借入金利息
(使用を開始した後の期間に係る部分)
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もっと知りたい!!税理士の深掘り
- アパート・マンション経営のために支払った費用を経費として処理するためには『領収書』を個人事業主であれば原則7年間保存しておく必要があります。
- アパート経営において接待交際費はあまり発生しませんが、必要経費ということであれば、支払った費用は経費として認められます。ただし、異常に接待交際費が多いとか、同規模の同業者と比べて接待交際費の割合が多い場合には、税務調査が入った際には、念入りにその実態確認が進められます。調査官は支出計上した費用が家賃収入を得るためにどのように直接関係があるかを訊いてきます。不動産会社、管理会社の担当者と打ち合わせのための飲食代は経費計上可能でしょうが、個人的な飲食費や家族で外食した支出などを計上していると否認されます。また、その答えの内容によっては、「反面調査」といって支払った飲食店に行き支払い金額や人数などを確認したり、接待した相手先に行き飲食の事実関係や内容を裏付けるために調査することもあります。
いずれにしても、入出金の根拠となる書類や帳簿書類の一部がない状態であれば、経費にならない「使途不明金」とせざるを得ない状況になりますので、領収書はきちんと保管しておきましょう。
最終更新日:2024/10/30
作成日:2021/08/31
- 税理士法人
東京シティ税理士事務所
- 副所長 パートナー税理士
- 村岡 清樹(むらおか せいき)
- (むらおか せいき)
村岡 清樹
資産税のプロフェッショナルでコンサルティング経験が豊富。不動産会社、ハウスメーカー、證券会社、新聞社等のセミナー、社員研修を数多く行う。アパート・マンションの税金対策・マイホームの税金・不動産の譲渡税金・相続税対策・土地の有効活用・不動産事業承継対策を得意とする。
- ※この記事は2024年4月1日現在の法令に基づいて作成しています。
- ※この記事では税法の規定を簡易な表現で説明しています。実際のお取引での税法上の適用の可否については、税理士・税務署等にご確認のうえ判断していただくようお願いします。
- ※監修:東京シティ税理士事務所