C値(相当隙間面積)しーち

建築物の気密性を表す指標。建築物内の隙間の面積の合計(平方センチメートル)を建築物の延床面積(平方メートル)で除したもので、「相当隙間面積」という。

隙間の面積は、特殊な機械を用いて、建築物の内外の気圧に差を生じさせ、そのときに計測された風量を基に求める。

1999(平成11)年の「次世代住宅省エネルギー基準」の採用により、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」に基づく「住宅に係る省エネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断基準」(以下、「基準」「指針」はいずれも建設省(当時)・国土交通省・経済産業省等関係省庁告示等)において、地域の区分に応じ、北海道等寒冷地においてはC値2.0(平方センチメートル/平方メートル)、東京等それ以外の地域では5.0(平方センチメートル/平方メートル)が定められ、それに適合するための施工方法等については、「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計、施工及び維持管理の指針」に詳細に定められた。また、2000(平成12)年に住宅性能表示制度が開始されたことに伴って制定された「日本住宅性能表示基準」に基づく「評価方法基準」にも、同様に寒冷地においてC値2.0(平方センチメートル/平方メートル)等が「等級4」に相当するものとして採用された。

しかし、その後の施工技術等の向上、建材・工法等の変化に加え、評価の蓄積から多様な方法による気密性の確保が可能であることが明らかになってきたことなどから、気密性についての定量的基準を除外することとなり、09(平成21)年の上記告示改正において、C値が削除された。さらに、15(平成27)年の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」の制定および21(令和3)年の同法改正を経て、25年4月以降、断熱性能の表示の基準として、UA値(外皮平均熱貫流率)およびηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)が採用されることとなり、現在は、基準値としてのC値は示されていない。

ただし、住宅の気密性については依然として、重視する立場があり、「HEAT20」においても、(一社)環境共生まちづくり協会が国土交通省住宅局の編集協力を得て作成した「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」には、「断熱と気密はセットで考えることが必要」との認識が示され、C値の水準や測定方法についての記述がある。

関連用語
住宅性能表示制度
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により導入された、住宅の性能を表示するための制度のこと。

品確法では、住宅の性能が正しく表示されるように次のような仕組みを設けている。

1.評価する機関を大臣が指定する。
品確法にもとづき正式に住宅性能を評価することができる機関は、登録住宅性能評価機関だけに限定されている(品確法第5条第1項)。登録住宅性能機関とは、住宅性能評価を行なうことができる機材や能力等を持つものとして国土交通大臣により登録を受けた会社等のことである。

2.評価書の作成方法を大臣が定める
登録住宅性能評価機関は、依頼者の依頼を受けて、住宅の性能を評価した結果を表示する書面(住宅性能評価書)を作成する。
この住宅性能評価書を作成するにあたっては、登録住宅性能評価機関は、国土交通大臣が定めた基準(日本住宅性能表示基準)に準拠しなければならない。

このように国が関与することにより、住宅の性能が適切に表示される仕組みが設けられている。

なお、品確法では、住宅性能評価書が交付された新築住宅については、住宅性能評価書に記載された住宅の性能が、そのまま請負契約や売買契約の契約内容になる場合があると規定している。この規定により注文者保護・買主保護が図られている(詳しくは「住宅性能評価書と請負契約・売買契約の関係」へ)。

また建設住宅性能評価書が交付された住宅については、指定住宅紛争処理機関に対して、紛争処理を申請することができるとされている(品確法第67条)。
UA値(外皮平均熱貫流率)
断熱性能および冷暖房の効率性を表す指標として、外皮(外壁、屋根、窓等)の熱損失量の合計(外皮熱損失量)を、外皮全体の面積の合計で除したもの。換気による熱損失は考慮しない。「外皮1平方メートルあたりの、外へ逃げる熱の平均値」などと説明される。 単位は「W/平方メートル・K」で表され、室内と外の温度差が1度ある場合(Kの意味)の、1平方メートル当たりの損失熱量(W)のこと。断熱性能が高いほど、UA値は低くなる。 住宅性能表示制度においては、地域ごとにUA値に対応して、該当する断熱等性能等級が定められており、例えば東京ではUA値0.87が、北海道では0.46が等級4に該当すると定められている。 2022(令和4)年のいわゆる「建築物省エネ法改正」により題名も改められた「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」の公布・施行により、25(令和7)年4月からは、省エネ基準適合が義務化され、新築住宅については、断熱等級4が最低基準として必要となった。 さらに30年には現在の断熱等級5相当(東京0.60、北海道0.40)が義務化される方向であり、これはZEH基準に相当する。その上に断熱等級6(東京0.46、北海道0.28)、断熱等級7(東京0.26、北海道0.20)が定められていて、これらは一次エネルギー消費量をそれぞれ30%、40%削減し、HEAT20によるG2、G3と同レベルに相当する。 一戸建て住宅については等級7(地域によっては等級6)、共同住宅等にあっては等級5の場合には、UA値およびηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)を明示することができる。