準防火地域じゅんぼうかちいき

準防火地域は都市計画で指定される地域であり、火災を防止するために比較的厳しい建築制限が行なわれる地域で ある(建築基準法62条)。

準防火地域では建築物は次のようなものとし なければならない。

1.地上4階以上の建築物
→必ず耐火建築物とする

2.地上3階の建築物
延べ面積によって次の3通りに分かれる。
1)延べ面積が1,500平方メートルを超えるとき : 必ず耐火建築物とする
2)延べ面積が500平方メートルを超え、1,500平方メートル以下のとき : 少なくとも準耐火建築物とする
3)延べ面積が500平方メートル以下のとき : 少なくとも3階建て建築物の技術的基準に適合する建築物とする

3.地上1階または地上2階の建築物
→延べ面積によって次の3とおりに分かれる。
1)延べ面積が1,500平方メートルを超えるとき : 必ず耐火建築物とする
2)延べ面積が500平方メートルを超え、1,500平方メートル以下のとき : 少なくとも準耐火建築物とする
3)延べ面積が500平方メートル以下のとき : 通常の建築物でも構わない

ポイントを2つ挙げておく。
まず、最近多い地上3階建ての一般住宅は、上記2.の3)に該当するので、少なくとも「3階建て建築物の技術的基準」に適合する必要がある。
次に、通常の地上2階建ての一般住宅は、上記3.の3)に該当するので、原則的に特別な防火措置を講じなくてよい。ただし上記3.の3)の場合に、その建築物を木造とするためには、建築基準法62条2項の規定に基づき外壁・軒裏を「防火構造」とする必要がある。

なお、準防火地域では上記の規制のほかに、次の規制があることに留意したい。

ア.屋根の不燃化
建築物が耐火構造準耐火構造でない場合には、その屋根は不燃材料で造り、ま たは不燃材料でふくことが必要である(建築基準法63条)。
イ.延焼の恐れのある開口部の防火措置
建築物が耐火構造や準耐火構造でない場合には、外壁の開口部(すなわち玄関や窓)で延焼を招く可能性のある部分に、防火戸など防火設備を設けなくてはなら ない(建築基準法64条)。

 

関連用語
防火地域
防火地域は、都市計画で指定される地域であり、火災を防止するため特に厳しい建築制限が行なわれる地域である(建築基準法第61条)。

防火地域での建築規制は次の通りである。 1.すべての建築物は少なくとも「準耐火建築物」としなければならない。 2.次の1)または2)の建築物は必ず「耐火建築物」としなければならない。
1)階数が3以上の建築物
2)延べ面積が100平方メートルを超える建築物
ここで「階数が3以上」とは、地下の階数も含む。従って、防火地域内の地上2階地下1階の建物は耐火建築物とする必要がある。
延べ面積が100平方メートルちょうどであれば、上記2.には該当しないことにも注意したい。

なお、建築基準法第61条では、防火地域であっても次の建築物は「準耐火建築物」としなくてもよいという緩和措置を設けている。 ア.平屋建ての付属建築物で、延べ面積が50平方メートル以下のもの。
イ.門、塀
ただし上記ア.に関しては、外壁・軒裏を防火構造とし(建築基準法第61条)、屋根を不燃材料でふき(建築基準法第63 条)、開口部に防火設備を設ける(建築基準法第64条)ことが必要とされている。
屋根不燃区域
防火地域と準防火地域にあるすべての建築物は、耐火建築物または準耐火建築物としない場合には、その屋根を不燃材料で造り、または不燃材料でふくことが必要である(建築基準法第62条)。

しかしその反面、防火地域または準防火地域以外のエリアでは、この屋根不燃化の規定(建築基準法第62条)は適用されない。

そこで建築基準法では、こうしたエリアであっても、特定行政庁の判断により、屋根の不燃化を強制できるという制度を設けている。これが「屋根不燃区域」である。 具体的には、特定行政庁が、防火地域または準防火地域以外のある区域を「屋根不燃区域」に指定すると、その区域内では屋根を不燃材料で造り、または不燃材料でふかなければならないことになる(建築基準法第22条第1項)。

またこの「屋根不燃区域」に指定されると、外壁や軒裏について特別な防火規制をクリアしなければならないことになる(建築基準法第23条)。

この「屋根不燃区域」を指定するには、都道府県都市計画審議会または市町村都市計画審議会の意見を聞く必要がある。

実際にこの「屋根不燃区域」は、木造家屋が密集する地域などで広汎に指定され、都市の防火に大きな役割を果たしている。