販売用不動産の評価減はんばいようふどうさんのひょうかげん

不動産会社・建設会社が商品在庫として保有する販売用不動産について、その時価が取得価額よりも下落したときに、評価額を減じて決算することをいう。

通常の販売目的で保有する棚卸資産については、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、収益性が低下しているものとみて下落価額を損失計上し、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とすることとされている。販売用不動産についても、同様の考え方を適用し、正味売却価額により評価しなければならない。

評価額は、開発の可能性に応じて次の算式によって算定する。
i)開発の見込みがないとき
販売用不動産の正味売却価額 = 販売見込額ー販売経費等見込額
ii)開発が見込まれるとき
開発事業等支出金の正味売却価額 = 完成後販売見込額ー(造成・建築工事原価今後発生見込額+販売経費等見込額)

なお、販売用不動産については、時価が取得価額より50%以上の下落を示したときには強制的に評価を減じる措置(棚卸資産の強制評価減)が定められていたが、2009(平成21)年にこの措置は廃止された。しかし、評価減を損失として処理する考え方に変わりはない。

関連用語
販売用不動産の評価に関するガイドライン
日本公認会計士協会が、建設業界・不動産業界の企業監査を実施するために2000年7月6日に設けたガイドラインのこと。正式名称は「販売用不動産等の評価に関する監査上の取り扱い」である。 販売用不動産は、通常の販売目的で保有する棚卸資産と同様に、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、収益性が低下しているものとみて、下落価額を損失計上し、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とすることとされている。 販売用不動産の評価に関するガイドラインは、この場合の正味売却価額の算定などについての判断指針等を定めている。基本的な算定式は、開発の可能性に応じて次のとおりである。 i)開発の見込みがないとき
販売用不動産の正味売却価額 = 販売見込額ー販売経費等見込額
ii)開発が見込まれるとき
開発事業等支出金の正味売却価額 = 完成後販売見込額ー(造成・建築工事原価今後発生見込額+販売経費等見込額) この場合、開発の見込みの有無は、次の基準に基づいて判断する。そしてこの基準によって「計画の実現可能性がない」と判断された不動産については、「販売用不動産の正味売却価額」として算定しなければならない。 1)開発計画に明らかに合理性がないと認められる場合には、その時点で開発計画の実現可能性はないものと判断する。 2)開発工事が一定期間延期または中断され、次のような状況にある場合には、原則として実現可能性はないものと判断される。
a)開発用の土地等の買収が完了しないため、開発工事の着工予定時からおおむね5年を経過している。
b)開発用の土地等は買収済みであるが、買収後おおむね5年を経過しても開発工事に着工していない。
c)開発工事に着工したが、途中で工事を中断し、その後おおむね2年を経過している。