建築確認けんちくかくにん

一定の建築物建築(増改築を含む)しようとするときに、工事の着手前に、建築計画が法令で定められた建築基準(建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準)に適合している旨の確認を受けなければならないとする制度、または当該確認行為をいう。

確認を申請する義務があるのは建築主で、確認を行なうのは建築主事等である。

建築主は、建築確認を受けた場合には確認済証の交付を受ける他、工事を完了したときには検査を受けること、一定の場合には工事の中間検査を受けることなどの義務を負う。また、建築基準に違反した建築物については、建築主、建築工事の請負人等に対して、工事施工の停止や違反を是正するための措置を命じることができる。ただし、特別な場合を除いて、従前から存在する基準に違反の建築物(既存不適格建築物)については、増改築をしない限りはそのまま使用できる。

建築確認制度において重要なのは、建築確認を受けなければならない建築物の建築工事に当たっては、その設計は建築士が当たらなければならず、また建築士である工事監理者を置かなければならないとされていることである。この条件を満たさない建築確認申請は受理されない。つまり、建築基準を確保する仕組みは、建築確認制度と建築士制度とが一体となって初めて実効あるものとなるのである。

なお、建築基準は、都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に対してはより厳しい基準が適用されるなど、建物の敷地場所、規模、構造、用途等に応じて詳細に定められているため、その内容については注意深く確認する必要がある。

関連用語
建築確認(手続の流れ)
建築主事は、建築確認の申請を受理してから、一般の建築物については7日以内に、一定の特殊な建築物または大規模な建築物については原則として35日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認した場合には、建築主に文書(確認済証)を交付することとされている。

また、建築計画が法令に適合しないと認めたとき又は申請書の記載によつては建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、7日又は35日以内に、その旨及びその理由を記載した通知書を建築主に交付することになる。

なお建築主は、確認の期限を過ぎた場合であっても、確認済証の交付を受ける前には、工事に着手することはできない。
中間検査
阪神・淡路大震災で倒壊した建物が多数存在したことに鑑み、建築物の安全性の向上のために1999(平成11)年に導入された新制度。
この制度では、建築物を新築する際のある中間工程を「特定工程」とし、この特定工程の工事が済んだ時点で検査を義務付けるというものである。それと同時に、中間検査に合格しない限り、それより先の工程の工事が全面的にストップするという厳しい内容となっている。 具体的には、建築基準法の規定(第7条の3)によれば、建築主は、特定行政庁が指定した特定工程の工事を完了した日から4日以内に、建築主事に「中間検査」を申し出る必要があるとしている。この申し出を受けた建築主事は申し出から4日以内に工事中の建築物を検査する必要がある。このように、中間検査の申し出から実際の中間検査まで8日間とされており、中間検査が迅速に行なわれるよう配慮されている。
この中間検査の結果、建築物が建築基準法に適合している場合は、建築主事は「中間検査合格証」を建築主に交付しなければならない。 どのような建築物について中間検査を義務付けるかは、それぞれの特定行政庁(知事や市長)が自由に決定できることとされている(建築基準法第7条の3)。従って、詳しくは自治体の窓口(建築確認の担当部署)に問い合わせる必要がある。 一例を挙げれば、首都圏のある政令指定都市では、次のような中間検査を義務付けている。まず、対象となる建築物は、木造3階建ての一戸建て住宅などである。
特定工程に指定されているのは、木造3階建て住宅では「屋根工事」である。この「屋根工事」の中間検査に合格する前には、構造耐力上主要な部分を覆う壁・床・天井を設ける工事の工程に進むことはできないこととされている。
このように、屋根工事を一つの区切りとして、工事途中の段階で、建物の構造の安全性をチェックする仕組みになっているのである。
工事完了検査(完了検査)
建築主は、工事を完了した日から4日以内に、建築主事に「工事完了検査」を申し出る必要がある。この申し出を受けた建築主事は申し出から7日以内に建築物を検査する必要がある。 この検査の結果、建築物が建築基準法に適合している場合は、建築主事は「検査済証」を建築主に交付しなければならない。