土地使用権の設定(所有者不明土地に対する〜)とちしようけんのせってい(しょゆうしゃふめいとちにたいする~)

所有者不明土地のうち、現に建築物がなく、業務の用その他の特別の用途に供されていない土地(特定所有者不明土地)に対して、一定期間、その土地を使用する権利を設定することをいう。

土地使用権は、地域福利増進事業を実施する者が都道府県知事の裁定を得て設定する。この場合、都道府県知事は、裁定に当たって関係市町村長の意見を聴かなければならない。裁定で定められた補償金は、供託される。

土地使用権が設定された特定所有者不明土地について、これに関するその他の権利は、設定した事業者がその土地等を使用するために必要な限度において行使が制限される。また、土地使用権の存続期間は事業実施に必要な期間で10年を超えることはできないが、裁定によって延長することができる。

関連用語
所有者不明土地
探索しても所有者を確知できない土地。所有者が不明な場合のほか、所有者の所在が分からない場合も含まれる。

土地所有者の探索は、公的書類等による調査や聞き取り調査によるが、所有者が判明しなかったり、判明しても所在が不明の場合が少なくなく、また、長期にわたって相続登記がなく、数次の相続を経ているため所有者が多数にのぼるなど探索が困難な場合もある。このため、土地の公共的な利用に支障が生じることがある。

そこで、2018(平成30)年に、一定の事業のために特定の所有者不明土地を円滑に利用すること、所有者不明土地の財産管理人の選任申立権を地方公共団体の長等に付与すること、名義人死亡後長期間相続登記等がされていない土地である旨を登記に付記することなどの制度が創設された(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法)。 また所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)が行なわれ、2023(令和5)年からは要件に該当する相続した土地については国庫に帰属させることができるようになり、2024(令和6)年からは相続登記が義務化になるなどの取り組みが進められている。