最終更新日:Mon, 04 Aug 2025 18:00:00 +0900

日照権

にっしょうけん

必要な日照、日当たりを確保する権利。隣地の建物や近隣の高層建築物等に日照を遮られることを防止する権利。

太陽光線を受けることが肉体的および精神的な健康を保つために必要であるという考えは一般的である。また、洗濯物を干す、最近では太陽光発電を行なうなど、日常的な実用性もあることから、憲法第13条(幸福追求権)、第25条(生存権)等が日照権の根拠となるとされている。しかし、一方で、日照権について明文で直接的に保障する法律があるわけではない。

建築基準法は、第56条の斜線制限により、日照、採光、通風等を確保するために建築物の高さおよび形態を規制し、さらに、第56条の2の日影規制により、住宅地における高層建築物の建築を規制して、日照の確保を図っている。

判例では、建築行為を行なった相手方に建築基準法違反があることや、日照を遮る時間が長く受忍限度を超えていることなど、相手方の違法性を要件として、日照権の主張が認められている。工事の差し止めだけでなく、損害賠償や金銭の支払いによる和解などの金銭による紛争解決が図られる場合もある。

-- 関連用語 --

日照

太陽放射によって照らされること。太陽放射の効果には、光効果と熱効果があるが、日照は光効果に着目して言われることが多い。熱効果に着目するときには、一般に「日射」とされる。 住宅地の日照を保護するため、一定の地域については、日照時間を確保するための建築制限(日影規制)が適用される。また、建築設計においては、太陽放射の作用や影響を緩和・活用する必要があるが、そのための作業を「日照調整」と言う。

斜線制限

建築物の各部分の高さに関する制限をいう。 通風、採光等を確保し、良好な環境を保つことを目的とした制限で、建築物を横から見たとき、空間を斜線で切り取ったように制限されることから斜線制限と呼ばれる。

斜線制限には、道路高さ制限、隣地高さ制限、北側高さ制限、日影規制がある。 1.道路高さ制限は、前面道路の反対側境界線を起点とする一定勾配の斜線の範囲内に、 2.隣地高さ制限は、隣地境界線から一定以上の高さを起点とする一定勾配の斜線の範囲内に、 3.北側高さ制限は、北側隣地(道路)境界線上の一定の高さを起点とする一定勾配の斜線の範囲内に、 4.日影規制は、敷地境界から一定の距離を設定してそのラインを越えて一定以上の日影を生じさせないように、 それぞれ建築物の高さを収めなければならないとされている。

制限される高さの具体的な算出方法は、用途地域の指定などの都市計画の状態等によって異なる。