テーマ:マーケット

東京圏の分譲マンション市場動向(価格帯別の動向等)

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 10月号

この記事の概要

  • 東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県)の分譲マンション発売戸数は、2016年に入り大幅な減少が続き、契約率も70%割れの月が過半と、低調な局面が続いている。
  • 価格帯では、高額帯の販売が比較的好調。ボリュームゾーンの3千万円台・4千万円台は、23区で契約率が高く、郊外部で低いなど販売好調地域が中心部に偏る傾向がみられる。

1)東京圏の分譲マンション発売戸数は大幅な減少が続いている。契約率も70%割れの月が過半

東京圏の分譲マンションの発売戸数は、2016年の1月から8月にかけて、おおむね2千戸/月から3千戸/月で推移している。前年同月比増減率は月間平均で-20%と大幅な減少傾向にある[図表1上]。なかでも7月が-31%、8月が-25%と減少幅が大きい。発売戸数のうち契約に結び付いた戸数の比率を示す契約率は、2015年まで販売好調の目安とされる70%を上回る状態が続いたのち、2016年に入ってから低下傾向となり、直近では7月が63.3%、8月が66.6%と低水準が続いている。デベロッパーの月々の発売戸数の調整などによって供給が減少したにもかかわらず、契約率が低水準で推移していることから、販売は低調な状況である。

東京圏では販売価格が2015年の後半から一段と上昇している[図表1下]。マイナス金利導入後の住宅ローン金利の低下など需要を喚起する要因もみられるものの、価格上昇に実需層が追随できず買い控えにつながるなど、全般的には需要が減退していると考えられる。

[図表1]販売に係る諸指標の推移

[図表1]販売に係る諸指標の推移

データ出所:不動産経済研究所「首都圏のマンション市場動向」

2)高額帯の契約率が高く販売は比較的好調。ボリュームゾーンの3千万・4千万円台では23区で契約率が高く、郊外部で低いなど差がみられる

物件価格帯別ではいくつかの特徴がみられ、ひとつには9,000万円超の高額帯の契約率が相対的に高い水準にあることがあげられる。千代田区や港区など東京都心区等での富裕層や投資家の購入や、東京都下の鉄道沿線での駅近・好立地の希少性の高い物件における高所得世帯の購入などが契約率の高さにつながっていると考えられる。

また、全体の発売戸数の半数弱を占める3,000万円超5,000万円以下(3千万円台・4千万円台)の物件では、東京23区の契約率が70%を超えているのに対して、東京都下・神奈川県、埼玉県・千葉県では70%を下回る水準で、とくに埼玉県・千葉県では65%台と低水準であった。ボリュームゾーン(需要の中心的な価格帯)においてさえ、東京都心へのアクセス性が良好な立地等では比較的販売が好調だが、周辺郊外部では販売に苦戦している状況がうかがえる。

[図表2]地域別の発売戸数と契約率の直近動向(2016年1月から8月の実績)

[図表2]地域別の発売戸数と契約率の直近動向(2016年1月から8月の実績)

データ出所:不動産経済研究所「首都圏のマンション市場動向」

発    行: みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103-0027  東京都中央区日本橋1-3-13 東京建物日本橋ビル

レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部

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