住宅ローンを組むときに前提とするのは、「無理をしない」ということです。収入の割に借入額や返済額が多すぎるとリスクは増し、生活が楽しめなくなります。病気や事故による収入の減少で返済が滞ったり、せっかく新居に移っても厳しい節約を余儀なくされたりすることがあるからです。こうしたことにならないように、住宅ローンを組むためには、1)借入額をいくらにするか、2)何年間にわたって返済するのか、3)どの程度の金利水準で借りるのかの3点を慎重に検討する必要があります。
これら3つは互いに深く関連し合っています。「住宅ローンの基礎知識Vol.1 住宅ローン、いくら借りる?どこで借りる?」でご紹介したように、年収(返済能力)を基に借入可能額を決める場合、適用金利や返済期間も仮定して試算しなくてはなりません。
では、3つのうち何から決めていけばいいのでしょうか。「住宅ローンの基礎知識Vol.1 住宅ローン、いくら借りる?どこで借りる?」でご説明した通り、まずは確実に返済できるかという視点が大切です。その視点で、返済可能性から無理のない借入額の見当をつけておく必要があるでしょう。
返済期間が短ければ、返済総額は減るが
次にその借入額を前提に、返済期間を検討します。適用金利が同じなら、返済期間は長いほど毎月の返済額は少なく済むので毎月の生活は楽になるでしょう。ただし、返済期間が長いほど金利負担はかさみますから、返済総額は増えていくわけです。下表のように同じ3000万円を借りても、借入期間次第で、毎月の返済額や返済総額が大きく変わります。金利が1%でこの違いがでるわけですから、今後、金利が上がれば総支払額の違いはもっと大きくなります。
【試算条件】
- 元利均等返済で6ヵ月毎の増額返済が無い場合
- 金利は借入期間中の変動がない前提
※試算結果はあくまでも参考値であり、実際にお借り入れされる場合の結果とは異なる場合があります。
返済期間が短ければ、毎月の返済額は多くなるものの返済総額は少なく済む、返済期間が長ければ、毎月の返済額は少なくなるものの返済総額は多くなる、ということを考えて自らの返済能力を勘案し、条件を決めます。
住宅ローンの設定費用に要注意
完済時の年齢まで考慮に入れて返済期間を決めたら、次にどの金利の適用を受けるかを検討・交渉します。金利水準は低いに越したことはないのは言うまでもありません。ただそれ以前に、まずそのタイプを決めなくてはいけません。
金利タイプとは大きく2つ、固定金利と変動金利を指します。この2つの金利タイプがどのようなもので、どのような目で選べばいいか、という点に関しては、「変動?固定?期間固定?メリットとデメリットを知っておこう」で詳しく解説していきます。
住宅ローンを組むときには一定の費用がかかるということも覚えておきましょう。ローン契約に伴い、契約書の作成に必要な印紙代のほか、購入した不動産に担保を設定したり保証会社に保証してもらったりする費用が必要になるからです。
不動産に担保を設定する場合には、抵当権設定登記費用として登録免許税を納める必要があるほか、登記事務を司法書士に依頼すれば、その報酬が必要になります。保証会社に保証してもらう場合には、保証料や手数料が必要になります。
住宅ローン関係諸費用概算
抵当権設定関係費用 |
6万7千円~ |
保証会社事務手数料 |
約3万2千円~ |
保証会社保証料 |
約61万円~ |
印紙税 |
約2万円~ |
合計 |
約72万9000円~ |
※借入額3200万円、借入期間30年、変動金利0.625%を前提に、都市銀行の一般的な費用の例
このほか、団体信用生命保険への加入も求められます。これは、住宅ローンを借りている人が死亡した場合、借入残額を保険金で相殺する仕組みの生命保険です。保険料が金利分として返済額に含まれている場合には、別途支払う必要はありません。