公正証書こうせいしょうしょ

個人や法人からの嘱託により、公証人公証役場で作成する契約書・合意書などのことをいう。

公正証書の内容としては、不動産売買契約、不動産賃貸借契約、金銭消費貸借契約遺言などが一般的であるが、公序良俗に反しない限り、どのような契約や合意であっても公正証書にすることが可能である。

公正証書を作成するには、当事者全員(または委任状を持参した代理人)が公証役場に出頭し、公証人に案文を提出し、公証人が公正証書を作成し、当事者全員に読み聞かせ、当事者全員が署名捺印するという手続きを踏む。
このため、文書の内容に関して後日裁判になった場合でも、文書の内容が真実であることが非常に強く推定されるので、公正証書に記載された内容がそのまま裁判で証拠になるというメリットがある(これを「証拠力」という)。

また、金銭消費貸借契約に関しては、債務者が一定の事情が発生したときには直ちに強制執行に服するという旨の陳述(これを「執行認諾約款」という)が記載されている場合には、この公正証書は裁判所の確定判決と同等の効力を持つこととされている。

このため、「約束の支払い期日までに債務者が債務を返済しない場合には債務者および連帯保証人は直ちに強制執行を受けても何ら異議はない」という旨の執行認諾約款のある公正証書が存在すれば、裁判を経ないで、直ちに債務者と連帯保証人の財産に対して強制執行を開始することができるというメリットがある。

このような強い効力を持つ公正証書であるが、その作成手数料は低額であり、利用しやすい制度となっている。

関連用語
公正証書の作成手数料
公証人が、公正証書等を作成した場合に支払わなければならない手数料。「公証人手数料令」によって定められている。

手数料は消費税は非課税で、原則として、公正証書等を受け取るときに現金またはクレジットカードで支払う。また、金銭消費貸借契約、土地の賃貸借契約、土地の売買契約等には、公正証書に印紙税法による印紙の貼付が必要となる。

法律行為に係る証書作成の手数料は、原則として、その目的価額に応じて次のように定められている。

目的の価額              手数料
100万円以下               5,000円
100万円を超え200万円以下         7,000円
200万円を超え500万円以下        11,000円
500万円を超え1.000万円以下        17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下     23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下     29,000円
5,000万円を超え1億円以下       43,000円
1億円を超え3億円以下    43,000円に5,000万円までごとに13,000円を加算
3億円を超え10億円以下    95,000円に5,000万円までごとに11,000円を加算
10億円を超える場合    249,000円に5,000万円までごとに8,000円を加算

なお、目的価額を算定することができないときは、一般に500万円とみなすとされている。

売買契約のように双方が義務を負う場合は、双方が負担する価額の合計額(売買の場合は売買価格の2倍)が目的価額となる。また、数個の法律行為が1通の証書に記載されている場合にはそれぞれの法律行為ごとに別々に手数料を計算しその合計額を目的価額とし、法律行為に主従の関係があるときには従たる法律行為は目的価額の計算対象には含まれない。