管理規約(区分所有法による~)かんりきやく(くぶんしょゆうほうによる~)

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)に基づいて定める規約。区分所有法では単に「規約」と表記しているが、一般的に「管理規約」と呼ばれている。

建物敷地、附属施設の管理・使用に関する区分所有者相互間の事項が規定されている。また、区分所有者全員の利害に関係しない一部共用部に関する事項については、共用する区分所有者の規約で定めることもできる。

管理規約を定める場合には、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならないとされる。また、規約によって区分所有者以外の者の権利を害することはできない。

管理規約の設定、変更、廃止は、区分所有者の集会において、区分所有者の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の決議(特別決議)によって決する。

管理規約に定める事項については特に定めはないが、国土交通省マンション標準管理規約を公表し、参考に供している。マンション標準管理規約は、単棟型、団地型、複合用途型に分けて示されており、管理規約に定めるべきとされる主要な事項は次のとおりである。

1.敷地、建物、付属施設の範囲
2.共用部分の範囲
3.敷地・付属施設・共用部分に関する各区分所有者の持つ共有持分の割合
4.専用使用権の範囲
5.敷地利用権と専有部分の分離処分の可否
6.使用細則(使用に関する詳細な規則)の設定
7.集会、管理組合、理事会、会計等に関する事項

なお、管理規約は集会で設定されるべきものであるが、マンション分譲業者が最初にマンションの全部を所有している場合には、次の事項に限っては、公正証書で定めることによって、集会を経ずに管理規約を設定することができるとされている。

1.規約共用部分
2.規約敷地
3.専有部分と敷地利用権の分離処分の可否
4.敷地利用権の共有持分の割合

関連用語
管理規約の変更
分譲マンションなどの区分所有建物では、管理組合は、区分所有者どうしの関係を定めるルールである管理規約を設定する。

この管理規約を設定するためには、集会における特別決議(すなわち区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の賛成)で可決する必要がある。

このようにして特別多数により決議されて設定された管理規約であっても、時代の変化や入居者の状況の変化に応じて、内容を変更する必要に迫られる場合がある。特に最近ではペット飼育が一般化しつつあるため、管理規約の変更が議論されることが多くなっている。

このような管理規約の変更について、区分所有法では次の2つの要件を定めている。

1.管理規約を変更するには、区分所有者数および議決権の各4分の3以上の多数によって集会で決議する必要がある(区分所有法第31条)。
2.管理規約を変更しようとする場合に、その管理規約の変更が「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」は、その一部の区分所有者の承諾を得なければ、管理規約を変更することができない(区分所有法第31条)。

まず上記1.のように、管理規約の変更には4分の3以上の特別多数の賛成が必要である。
また、たとえ4分の3以上の賛成を得ることができたとしても、その管理規約の変更により、一部の区分所有者だけが不利益を受ける可能性があるときは、上記2.によりその不利益を受けるであろう区分所有者の承諾を得なければ、管理規約を変更することはできない。

このように厳しい要件が定められているので、管理規約の変更には困難が伴うことが多い。
なお使用細則の変更については、原則として過半数の賛成で行なうことができるが、建物および敷地の管理に関する基本的な事項に関わる部分の変更には、4分の3以上の賛成が必要と考えられている(詳しくは使用細則へ)。