テーマ:マーケット

国内不動産の売買額が2年連続減少。オフィスや住宅が大きく減少

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 2月号

この記事の概要

  • 2016年に開示・公表された国内不動産の売買取引額は4兆131億円で、前年比7.4%減。2年連続の減少となった。
  • 投資対象物件の利回りの低下(物件価格の上昇)や品薄化が進行していることが、市場規模の縮小につながったと考えられる。
  • オフィスビルと住宅の取引額が大きく減少。一方で、倉庫・物流が大きく増加し、ホテルと土地も増加した。

1)不動産売買取引額は2年連続減少

株式会社都市未来総合研究所の「不動産売買実態調査」によると、上場企業やJ–REIT等が2016年に公表した国内不動産の売買取引額は4兆131億円で、2年連続して減少した(前年比7.4%減少)[図表1]。投資家の投資意欲※1や金融機関の融資姿勢は積極的であると考えられる中([図表2])、投資対象物件の利回りの低下(物件価格の上昇)や品薄化の進行などから買手と売手ともに様子見の状況となっていることが要因であると考えられる。

買主セクター別では、J–REITは7投資法人の新規上場が影響して取得額は18%増加したが、その他のセクターでは「その他の事業法人等」のほぼ横ばいを除き、減少した[図表3]。

※1 投資家の投資意欲について:一般財団法人日本不動産研究所「第35回不動産投資家調査」(2016年10月現在)で、今後1年間の不動産投資について149社中126社が「新規投資を積極的に行う」と回答(複数回答あり)したことが報告されている。

[図表1]不動産売買取引額の推移

[図表1]不動産売買取引額の推移

[図表2]金融機関の不動産業に対する貸出態度判断DIの推移

[図表2]金融機関の不動産業に対する貸出態度判断DIの推移

注:大企業:資本金10億円以上、中堅企業:同1億円以上、中小企業:同2千万円以上

[図表3]買主セクター別取得額の推移

[図表3]買主セクター別取得額の推移

注:買主セクターが不明な取引は除く

データ出所:
図表1,3:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」
図表2:日本銀行「短観(全国企業短期経済観測調査)」

2)オフィスビルと住宅の取引額が大きく減少する一方、倉庫・物流やホテル、土地の取引額が増加

用途別の取得額は、オフィスビルと住宅が大きく減少し(合計で前年比-31%)、取引全体に占める割合が2015年の54%から40%に低下した[図表4]。オフィスビルと住宅の取引額(合計)をエリア別※2にみると、東京23区だけでなく、2015年に取引額が増加した主要12都市やその他(東京23区と主要12都市以外)でも減少した※3。利回りの低下や品薄化が東京23区以外のエリアでも進行し、取引額が縮小したと考えられる。一方で、倉庫・物流は投資法人の新規上場に伴って取引額が大幅に増え(+139%)、ホテルと土地も増加した(それぞれ+6%)。

なお、土地については、取引額ベースでは前年比6%増にとどまるが、取引件数ベースでは22%増となり、本調査開始(2000年)以降で最も取引件数が多かった[図表6]。取引をエリアで分類すると、前年と比較して全てのエリアで件数が増加しているが、東京23区以外の増加が大きい[図表6]。デベロッパーや住宅メーカーが都市再生機構や地方自治体などから分譲マンション用地や戸建住宅用地等を取得するケースのほか、一般事業法人が物流施設や工場用地などの業務用地を取得するケースが増加した。また、J–REITや私募REITが商業施設等の底地を不動産業者から取得するケースが2015年から引き続き多くみられた。

※2 エリアは、エリア不明を除く全ての取引を、東京23区、主要12都市(大阪市、名古屋市、京都市、神戸市、横浜市、札幌市、仙台市、福岡市、さいたま市、川崎市、広島市、千葉市)、その他(東京23区と主要12都市以外)で分類。

※3 ただし、主要12都市については、対前年では減少しているが、2013年以降高水準が続いている。

[図表4]用途別の取引額推移

 [図表4]用途別の取引額推移

注:用途不明の取引は除く

[図表5]エリア別の取引額推移(オフィスと住宅の合計)

[図表5]エリア別の取引額推移(オフィスと住宅の合計)

注:エリア不明の取引は除く

[図表6]取引件数の推移(土地)

[図表6]取引件数の推移(土地)

注:エリア不明の取引は除く

データ出所:
図表4~6:都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」

発    行: みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成: 株式会社都市未来総合研究所 研究部

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