以前の日本の住宅で注意すべきポイント

知っておきたい住宅のこと vol.3

以前の日本の住宅で注意すべきポイント

長く住み慣れた我が家でも、年数を重ねると色々と気になってくることもあるでしょう。最近の住宅はバリアフリー化がされていますが、築年数が経過した住宅は高齢者には住みにくい部分が多くあります。

段差が多い・間口が狭い・・・以前の日本の住宅の問題点

室内での転倒、階段からの足の踏み外し、不慮の溺死など、家庭内事故での65歳以上の死亡者は厚生労働省の「人口動態統計」によると毎年1万人を超えています。年齢を重ねると歩行が摺り足気味になるので、少しの段差でもつまずいて転倒しやすくなります。怪我だけで済んだとしても、そのまま寝たきりになってしまうこともあるので、たかが転倒と侮れません。室内での転倒は、身体能力の低下や本人の不注意が原因とされがちですが、段差や構造に起因しているケースも多数あるのではないでしょうか。玄関の「上がりかまち」、廊下と居室との段差、建具の段差など段差が多い日本の住宅は、高齢者にとっては暮らしにくい構造です。また、間口の幅は日本古来の単位である尺貫法が取り入られているので狭く、車いすや福祉用具を使う場合に苦労します。また、湿度の高い日本の気候に合わせて風通しのよさを優先した造りは、冬の寒さに対応していません。暖房で温めた居室から急に寒い廊下にでた時や、入浴時、トイレなどでヒートショックを引き起こしてしまうなども近年問題となっています。

段差が多い・間口が狭い・・・日本の住宅の問題点

家庭内事故を防ぐためにしておきたいこと

投資用不動産として活用したい場合は、プロのアドバイスも受けながら運用家庭内でつまずいた時に、自分の加齢のせいだとそのままにしてしまう方が多いようですが、重大な事故につながる前に段差についてもきちんと考えておきましょう。
最近の住宅では上がりかまちの高さは180㎜以下が多いのですが、古い住宅では300㎜以上の段差があることも。出入りの動作に影響を与えてしまうので、ステップになるような式台を上がりかまちに寄せて配置します。奥行きが狭いと足が置きにくいので奥行きは400㎜以上を目安とします。また、靴の着脱の際に利用できるベンチを配置し、立ち上がる際に少しでも負担が減るように手すりを取り付けるといいでしょう。
廊下と居室との段差への「すりつけ板」設置は、車いすを利用している方には適しています。ただ、「すりつけ板」の端部でつまずいてしまうことも考えられるので、必ず端部まで段差が出ないように調整しましょう。
幅やスペースの確保は、リフォームをして壁や柱を取り外す方法がありますが、構造上取り外せないものがあるので専門家と図面を見ながら相談しましょう。ドアを引分け戸にするのも間口を広げる方法のひとつです。

バリアフリーに対応したリフォームを検討

築年の経過した住宅は、いくら日々の掃除や定期的な点検・部分的な補修を行ったとしてもいたみが出てきてしまうので、本格的なリフォームが必要です。この時に、見た目だけでなくバリアフリーに対応したリフォームを施し、機能性も重視するといいでしょう。

バリアフリーに対応したリフォームを検討

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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