働き方改革とこれからの住まいの関係性を考える(第二話「郊外に暮らすメリット編」)

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.41

この記事の概要

  • テレワークは、「在宅型」「施設利用型」「モバイルワーク型」の3つ形態がある。「在宅型」はほかの2つに比べて注目されている働き方。今後は住宅と就業はより密接な関係になっていくことが予想される。
  • 総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(2017年)内、「テレワークの導入、導入可能性(従業員数300人以下)」の結果から、今後テレワークの導入が進展する可能性の高さがうかがえる。
  • 毎日出社する必要のない、自由な働き方が可能となるテレワーク。通勤時間を気にしなくていいのであれば、子育てや介護、趣味などに主軸をおいた住まい探しが検討しやすくなる。
  • 「テレワークモデル実証事業」(3年間)で実施したアンケートでは、テレワークを利用することで「家族と共に過ごす時間」が1時間以上増加した(52.6%)、「育児の時間」が1時間以上増加した(49.3%)などの結果が出ている。

第二話「郊外に暮らすメリット編」

【Eさんファミリー】
Eさんは東京駅近くのオフィスで働く30代のサラリーマン。結婚して5年が経ち、元気いっぱいの息子(2歳)と専業主婦の妻と一緒に、オフィスからドア・ツー・ドアで30分のところにある都内の賃貸マンションで暮らしている。勤務先は働き方改革の流れをくんで、必ずしもオフィスで仕事をしなくてもいいという方針に。息子を伸び伸びとした環境で育てたい、趣味のサーフィンをもっと気軽に楽しみたいと考えているEさんは、郊外でのマイホーム購入を検討中。

従業員数300人以下の企業で、テレワーク導入済みは3.0%。課題解決によって導入増の可能性大

テレワークとは、「tele=離れた所」と「work=働く」を組み合わせた造語。ICT(情報通信技術)を活用することで、場所や時間にとらわれない働き方が可能となります。
「在宅型」「施設利用型」「モバイルワーク型」の3つ形態がありますが、「在宅型」はほかの2つに比べてランニング費用があまりかからないことや子育てや介護をしながら仕事ができるという理由などから、注目されている働き方です。この背景から見ても、今後は住宅と就業はより密接な関係になっていくことが予想されます。
総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(2017年)内、「テレワークの導入、導入可能性(従業員数300人以下)」によると、「テレワーク導入済み」(3.0%)、「テレワーク導入可能群」(21.4%)、「テレワーク導入準可能群」(34.7%)という結果となっています。セキュリティーの確保や適正な労務管理制度の確立など課題はあるものの、導入可能群・導入準可能群の比率を見てみると、今後テレワークの導入が進展する可能性の高さがうかがえます。

テレワークの導入、導入可能性(従業員数300人以下)

テレワークの導入、導入可能性(従業員数300人以下) (出典)総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(2017年)

毎日会社に通わない働き方。郊外で得られる充実した暮らし

毎日出社する必要のない、自由な働き方が可能となるテレワーク。通勤時間を気にしなくていいのであれば、子育てや介護、趣味などに主軸をおいた住まい探しが検討しやすくなります。仕事ばかりではなく、そのほかの時間も確保できるような充足した人生を送るために、地方や郊外へ移住するという考え方は、これから上位にあがってくる住み替え理由になるかもしれません。ここでは、テレワークという働き方を選択し、郊外にマイホームを構えることで得られるメリットについてお伝えしていきましょう。

【周辺環境・交通】

●広い公園や自然が多いエリアで、伸び伸びとした子育てが可能

日常に自然が多いケースが多いので、休日わざわざ遠くに出掛けなくても、自然に囲まれた環境で子どもにさまざまな経験をさせてあげられます。

●商業施設が広く、人気ショップが揃う。駐車場無料のケースも

近年は、郊外型の大型商業施設が増えています。人気のショップが揃い、子育て世代向けの施設が充実しているなど、休日は家族で過ごすスポットとして十分楽しめます。都心だと駐車場代を気にしながら過ごさなくてはなりませんが、無料駐車場が完備しているケースが多いのも、郊外型の大型商業施設の特徴です。

●始発で座っていける駅を選べば、通勤時のストレスも軽減

テレワークといっても、月に何度か出勤日があるのは否めません。郊外というと、会社の最寄り駅まで長い時間満員電車に揺られて・・・と憂鬱になってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、始発駅や全席指定の列車が停車する駅であればその心配はありません。また、最近は各会社線の相互乗り入れが進んでいるため、都心から離れた駅でも、乗り換えなしで勤務地までアクセスすることが可能なケースもあります。

【住宅】

●リーズナブルな価格で住宅が手に入る

都心に比べて、土地の価格が安いのが郊外の特徴。同じ予算内でも、より充実した設備が取り入れられるなど、住環境の向上にもつなかります。

●敷地面積が広く、2台分の駐車スペースがある住宅も

広々とした敷地にマイホームを構えることが可能。車が活躍するエリアでもあるので、敷地内に2台分の駐車場が確保できる住宅も多くあります。広いお庭に、お子さま向けの遊具が置ける、駐輪場を設けられるなどもうれしいポイントでしょう。

●広い建物面積が確保できる

子どもたちそれぞれに部屋を与えられるだけでなく、テレワーク用の仕事部屋を確保するのも難しくありません。

このように住環境が整うだけでなく、テレワークの日は通勤時間の確保が必要ないので、その分家族と過ごす時間を作ることができます。
厚生労働省と総務省が連携して実施した「テレワークモデル実証事業」で実施したアンケートによると、テレワークを利用することによって、「家族と共に過ごす時間」が1時間以上増加した(52.6%)、「育児の時間」が1時間以上増加した(49.3%)という結果などが出ています。

テレワーク利用によって増減した時間

テレワーク利用によって増減した時間

(出典)厚生労働省「2014年度テレワークモデル実証事業」(従業員アンケート)

サーフィンや釣りが趣味であれば、海の近くに住むのもよいでしょうし、田や畑が多く残る地域でお子さまと一緒に農作物を育てながら過ごすのもよい思い出となるでしょう。
多様な働き方ができるようになってきた昨今、住まいの選択肢も広がっていくことは間違いありません。

調査概要 総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(2017年)
調査方法・・・郵送配布、郵送回収
対象・・・全国の法人(20,000通配布)
調査期間・・・2017年2月10日 金曜日~24日 金曜日
※3,384通うち有効回収数:3,378(総回収率:16.9% 有効回収率:16.9%)
※小数点第2位を四捨五入しているため、合計100%にならない場合があります

調査概要 厚生労働省「2014年度テレワークモデル実証事業」(従業員アンケート)
対象・・・厚生労働省委託事業「2014年度テレワークモデル実証事業」において、国内13,000社に対して実施。
調査期間・・・2014年5月30日 金曜日~6月16日 月曜日
※有効回答数・・・2,952社(有効回答率:22.7%)

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2019年1月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。