約45%が住まい探しで「電車の混雑を意識したい」~通勤と住まい探しのポイント~

アンケートから分かる購入・売却の「ポイント」Vol.11

この記事の概要

  • アットホーム株式会社が行った「満員電車と住まいの関係調査」を参考に、通勤電車の混雑の観点から住まい探しのポイントを紹介。
  • 部屋探しをする際に、75.1%の人が、通勤電車の混雑を考慮せずに住む場所を決めたという結果に。そのうち、5人に1人が考慮しておけばよかったと後悔している。
  • 広さと楽さのどちらを選ぶかという調査では、狭くても通勤が楽な方がいいという人が61%となり、楽さを優先する人が多い。
  • 通勤時間に関しては、満員電車で短時間通勤派が76.9%、座って長時間通勤が23.1%と、時間が短ければ満員電車でも我慢できると考えている人が多いことが分かった。
  • 部屋を決める前に、インターネットで調べたり、同じ通勤路線を利用している同僚や知人にヒアリングしたりするなどし、判断材料となる情報をできるだけ多く収集するとよい。不動産会社も多く情報を持っているため、物件情報だけでなく、通勤の情報も聞いてみることもおすすめ。

働き方改革の実現に向けてさまざまな取り組みが実施されていますが、通勤時間を少しでも快適なものにすることも、仕事の効率を上げるためには重要なことと言えるでしょう。しかし実態は、満員電車に長時間乗車して通勤する方がほとんどで、出勤するだけで疲れ果ててしまうというお話もよく耳にします(「理想“35分”、限界“86分”。通勤時間と住まい探しのポイント」)。そこで今回は、アットホーム株式会社が行った「満員電車と住まいの関係調査」を参考に、通勤電車の混雑の観点から住まい探しのポイントを考えてみたいと思います。

住まい探しで「通勤時の混雑を考慮しなかった人」の5人に1人が後悔

調査によれば、現在の住まい探しの際に「通勤電車の混雑を考慮して住む場所を決めた」という人が24.9%、考慮していなかった人が75.1%となりました。また、していなかった人のうち、通勤の混雑も考えて決めればよかったと回答した人が21.8%となりました。実際に住んでから通勤時の満員電車を経験して、後悔した人は少なからずいるようです。

通勤電車の混雑を考慮して住む場所を決めた 24.9%

Q. 現在のお住まいは、通勤時の混雑を考慮して、場所を決めましたか?
(対象:618名、有効回答:618名)

Q. 通勤の混雑具合も考慮して、住む場所を決めれば良かったと思いますか?
(対象:現在の住まいの場所は、通勤時の混雑を考慮しなかった464名、有効回答464名)

また、今後引っ越しをする際は、電車の混雑具合を意識して住まい探しをしたいと思っている人が45.3%となりました。

次の引っ越しは電車の混雑も意識して住まいを探したい 45.3%

Q. 今後引っ越しをする際、電車の混雑具合を意識して住まい探しをしようと思いますか?
(対象:618名、有効回答:618名)

通勤を意識した住まい探し。「狭いけど通勤が楽」を選ぶ人が61%

では、実際に満員電車を考慮した住まい探しをするとして、広さと通勤の楽さの優先順位はどのように考えているのでしょうか? 上述した調査によれば、「狭いけど通勤が楽」が61%、「広いけど通勤が大変な部屋」が39%という結果になりました。部屋の広さよりも通勤の楽さを取る人が多い結果となりました。

部屋の広さをとるか通勤の楽さをとるか 「狭いけど通勤が楽」派 61.0%

Q. あなたが現在一人暮らしをしているとします。同じ額の家賃を払うなら、
【A】間取り1R、広さ20㎡、会社から徒歩10分の部屋
【B】間取り1LDK、広さ40㎡、会社から電車に60分乗り続けて通勤する距離にある部屋
AとBのどちらを選びますか?(対象:618名、有効回答:618名)

その一方で、通勤時間に関しては、満員電車で短時間通勤派が76.9%、座って長時間通勤が23.1%となりました。満員電車は嫌でも、時間が短ければ我慢できると考えている人が多いことが分かります。状況が許すのであれば、通勤時間を快適にするというよりも、通勤時間自体を短くすることに意識を置いているのが分かる結果と言えます。

通勤をとるか混雑具合をとるか 「満員電車で短時間通勤」派 76.9%

Q. 通勤電車に関して、
【A】周囲の人に圧迫され、身動きできないくらいの満員電車に20分間乗って通勤
【B】ずっと座り続けて、120分間電車に乗って通勤
AとBのどちらを選びますか?(対象:618名、有効回答:618名)

できるだけ快適な通勤環境を得るためのポイントは?

通勤路線に乗車してシミュレーションしてみると混雑状況が体感できますが、手間や費用などを考えると現実的ではありません。インターネットで調べたり、同じ通勤路線を利用している同僚・知人にヒアリングしたりするなどし、判断材料となる情報をできるだけ多く収集するようにしましょう。以下では、ヒアリング時のポイントをご紹介します。

通勤路線の混雑率・遅延率

国交省がデータを公開していますので、事前に確認しておくと参考になるでしょう。

最寄り駅の時刻表

最寄駅の停車状況(快速や急行)、当駅始発の有無などを確認しておきましょう。

乗り換え状況

乗り換えがある場合は、乗り換えにかかる時間、移動距離などを確認しておきましょう。ターミナル駅で乗り換える場合、想定よりも時間がかかる、人が多い分、遅延が発生しやすいなどの可能性があります。

不動産会社でも情報収集を

上記の方法以外に不動産会社の担当者に聞いてみることも重要です。物件に近い不動産会社であれば、実際に通勤している営業社員の生の声や意見を聞けることもあるでしょうし、「複々線化が予定されており混雑の緩和が見込まれる」などの情報も得られるかもしれません。

満員電車と住まいの関係調査

調査方法…インターネットリサーチ
対象…1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)在住、電車を使って都内に勤務する、20~69歳会社員、男性309名、女性309名、計618名。
調査期間…2017年8月25日 金曜日~8月26日 土曜日
※小数点第2位を四捨五入しているため、合計100%にならない場合があります

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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